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3話

どうやら声をかけて正解だったらしい。女の子はどう見ても、男から手を掴まれて嫌な顔をしている。


そうか!わかったぞ、こいつロリコンという奴だ。

最近読んだ本に幼女が好きな成人男性をそう呼ぶと書いてあった。間違いないな。


「その手を離せロリコン!」


「あ〜!?誰がロリコンだって〜?」


うわー。この男怖ー。まあ、びびってはないけどね。これは武者震い。


「あなた、逃げなさい!死ぬわよ。」


あの子自分が危険なはずなのに人の心配をするなんて!

ちょっとおバカなのかも知れない!可哀想に。


でもどうにかして助けないと。


「おいそこのロリコン、これを見ろ!」


俺が手に取ったのは黒い球体だった。

この球体、3ヶ月前に製造魔術でお遊びで作ったものである。


「この球体なかなかの危険物でね、地面に落ちたらここら一体吹き飛ぶ仕組みなんだ。」


「はっ、そんなはったり信じる訳ねーだろうが。」


「それが本当なんだよなー。まあ別に信じなくもいいけど、本当だったらみんな助からないね。まあ、今から落とすからそれで確かめてみなよ」


そう言ってアルは、球体を落とした。すると、男は全速力でこちらに向かってくる。


速!?けど引っかかったな!


男が球体を掴む。でもその瞬間男の手は、球体と共に地面へとめり込む。


「ぷぷーw引っかかってやんのー。その玉は爆発する弾じゃなくて、落下するほど重くなる球だよ。」


そう言いながらアルは女の子の方に行き手を掴む。


「逃げるよ」


「え、ええ」


多分あれくらいじゃあの男は諦めない。とりあえず時間を稼がないと。


アルとラーナはその場から逃げ出すのだった。



      ◇◆◇


アルとラーナは、10分ほど走った後に、箱が積んでありちょうど子供二人が隠れれるスペースを見つけた。


「とりあえずここに隠れよう。」


危なかったー。もし球体じゃなくて俺に来てたら完璧に死んでた。

でもとりあえず女の子をあいつから離すことが出来た。


「ねえ、あなた名前は?」


「え?あー名前ね。アル・クラフテルだよ」


「ふーん、私はラーナ・カルテル。カルテル商会って聞いたことあるでしょ?」


カルテル商会は大商会なだけあって子でも知っているのが当たり前である。


「いや、初めて聞いたね」


だが、ずっと引きこもって買い物にすら行かないアルからしたら初めて聞く名前であった。


「えー!?知らないの?あなた本当にラグナベルクの住人なの?」


「失礼な、ちゃんとここの近くに住んでるよ。

それにしても、これからどうしようかな〜。作戦を考えないと。」


そう言ってアルは考え込む。アルの得意とする魔術は製造魔術だけである。でも相手がどんなことを仕掛けてくるのか分からないと何を作ればいいのか定まらない。

さらに時間もあまりない。これでは、あまり良いものは作れないだろう。


「そうね、こんな話してる場合じゃなかったわ」


「あっ!ねえ君あいつの特徴とかわかる?」


この子はさっきまであの男と接触していた。何か情報を持ってるかもしれない。


そう思いアルが質問する。


すると、ラーナは今までの出来事を細かく設定する。


聞いてみると、結構いろんな情報が出てくる。

ていうかこの子、あの男と戦ってたのか。意外とすごい子なのかな?


「なるほど、速すぎて魔術の発動すらさせてくれない暗殺者か」


その疾風のシンとかいう奴は、魔術使い専門の暗殺者らしい。さらに速さだけでなく威力も中級防御魔術なら一発で壊すほどらしい。


「なら、その速度がなくなれば勝てる?」


ラーナは説明の中で自分が出来ることも話していた。魔術を無限に撃てること、中級魔術ならある程度使えること。


「まあ、それなら撃ち放題だから勝てると思うわ。でもどうやって止めるの?もしかして、貴方が止まる気?」


ラーナからしたら、このアルという男の子にそんな能力があるとは思えなかった。さっきの球体はたまたま持っていた、まぐれのようなもの、そんなふうに考えていた。


「それは、今から作るんだ。」


そう言ってアルは、製造魔術を展開する。



     ◇◆◇



私は今とんでもないものを見ている。


私、ラーナ・カルテルは5歳の時から魔術の勉強をしてきた。

それは、早い段階で私が魔術を使えて、しかも特異な体質をしているということに気づいたお父様のお陰である。


だから私は、ある程度の魔術について知っていた。もちろん製造魔術についてもだ。

製造魔術は、どの魔術よりも自由で可能性を秘めている魔術と言われている。

なぜかというと、この魔術は時間と技術と魔力があれば、本当に《《なんでも》》作ることができる。

なんでも切れる剣や、最強のゴーレムだって作ることが出来るだろう。

まさに万能と言っていい魔術だ。

では、そんな凄い魔術をなぜみんな使わないのか、それはこの魔術に必要な時間、技術、魔力の3つがおかしいくらい効率が悪いのだ。


例えば、手のひらサイズのボールを作るとかだつたら、魔力が少し必要なだけで時間と技術はそこまでいらないだろう。

でも実践で使う剣を作る場合、膨大な魔力に、割りに合わない時間、それに一から組み立てる技術、これらが必要になる。

それを経て出来るのがただの剣だ。

実際、一般の成人した魔術師と同じくらい魔力容量がある私も、たくさんの時間と魔力容量分の魔力を全部使って作った物がただの椅子である。

本当に割に合わない。これが製造魔術である。


しかし今、その考えが覆ろうとしている。

製造魔術を使い始めたこのアルという少年、

尋常ではない。


まず、この集中力。作っている時私は、尋常じゃない彼を見て、何度か声を掛けた。でも返事すら返ってこない。

没頭するとは、このことなのだろう。


それにこの技術力、構造を組み立てるスピードが今まで見てきた中で誰よりも速い。

いや、それどころではない。

もう何の構造なのか私にはわからない。まるで、私がやってきた製造魔術が彼で言うところの呼吸のような、それほど緻密な技術力であった。


そして一番化け物だと感じたのは、この魔力容量である。

私も魔力容量には自信があった。同世代には負けないくらいの魔力容量を持っていると自負している。それに大気中から魔力を吸収して自分の魔力にするという特異体質を持っているため自分が天才であることは、小さい頃から自覚はしていた。


でも私は、このアルとかいう男の子には勝たないと思った。

だってこいつ、10秒くらいで私の魔力容量を超える魔力を製造魔術に注いでいるんだもん。しかもそれを10分間くらい続けて流し込んでる。それだけでも私の60倍の魔力容量を持っていることになる。

しかもまだピンピンしてる。


本当にありえない。こんな魔力容量初めて見た。

しかもまだ子供なのに。子供はまだ魔力容量が完璧ではない。だから私もまだ魔力容量は伸びるだろう。でもそれはこいつも同じだ。


すでにこんな化け物なのに大人になったらどうなるのだろう。


私は寒気がした。


「よし、できた。」


そんなことを考えていると、とんでもない魔力を消費したアルがピンピンして声を発した。


私はあるが作った物を見る。


「あー、これなら勝てるかも」


私は、それを見て勝つ流れが見えたのであった。





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