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久々の登校

執筆って難しいですね。舐めてました。まぁ楽しいんですけどね

朝起きるのが億劫だ。大学に行きたくない。一人暮らしをしている自分は朝うるさく起こしにくる母親もいないため、布団から出る理由がいよいよ無くなっていた。

無機質で圧迫感のある部屋だがもうここに来て半年も経つ。人一人住むのにちょうどいい狭さにも愛着が湧いてきた。

壁にかかった無数の時計は狂ったようにチクタクと秒針を鳴らしていて、初めて訪れた者は発狂しそうになるだろうが、慣れてしまえばと心臓の拍動のようで心が安らぐ。

そんな部屋に今日はサボって寝ちまおうか。そんなことを思っているとメッセージが届いた。


『昨日までずっと大学さぼってるんだから今日くらいきなさい。流石に目立ち始めるわよ。』


俺にメッセージをくれるやつなんてあいつくらいしかいない。最近は他人のメッセージに返信するのも億劫だが、こいつだけは無下にしたくないから一応返事くらいはしておく。


『ニート生活最高。やめれん。』

『バカなこと言ってないで早く支度しなさい。生活にメリハリをつけると自己肯定感が上がるわよ』

『うぇぇめんどい〜』

『もうすぐ遺跡探索が控えてるんだからいい加減授業に出ないと命に関わるわよ。勉強の遅れは多少サポートしてあげるからさっさと部屋から出てきなさいニート』

『…うぃ』



余計なお世話だと思いつつ実は結構助かっていたりする。ぼっちで友達の少ない俺の生活を本気で心配してくれるのなんてこいつくらいだから。

とりあえず歯を磨き、適当に髪を濡らして寝癖くらいは整えておく。髭はなかなか伸びにくい体質だからまだ剃る必要はない。おっと顔を洗い忘れていた。適当に洗ってから保湿する。乾燥肌な自分はしつこく保湿しないと後で痛い目を見るのだ。


鏡に映る一重の瞼を見てため息をつき、起きた直後の妙に不細工な顔を改めて見てもうひとつため息をつく。

そばの棚にはワックスやヘアスプレーが置いてあるがもう何ヶ月も使っていない。入学当初に大学デビューを試みて「大変努力された髪型」を作っていた頃の名残だ。最初のほうは頑張って髪を整えていたが、えぐいほど時間がかかること、そして何より大した格好良くないことにやっと気づいてからは元の「普通です」といった髪型に戻してしまった。気合いのこもった髪型をしていたことは時々からかわれる黒歴史である。


今日は水曜、授業はなんだったか。確認するのもめんどいな。どうせ確認しても課題をやっていない罪悪感と焦燥感に押しつぶされるだけだし。どうでもいいや、適当に教科書いれとこ。ぽいぽい〜


作りの甘いリュックサックに無造作に放り込んだ教科書は薬化学・対獣物理学・微積・機械語Iだった。まぁこんぐらい入れとけばどれかは当たるだろ。どうにでもなぁれ。


家賃が安い分無駄に大学から遠いオンボロ学生寮を出て、そこらの会社員がわらわら行き交う改札を通り電車に乗る。ぎゅうぎゅう詰めのむさくるしい電車の中、おっさんの芳しい汗が鼻腔をくすぐる。人がゴミのようだ。帰りたい。電車の中は思ったよりやることがないので適当に端末を眺め、大学の生徒専用サイトにアクセス。必要そうな情報をあさる。

お、今日の授業は機械語II、体術、銃撃訓練か。おもいっきりはずしたな、オワタ。

本郷で降りてキャンパスに向かう。


「まぁいいや。教材は適当にあいつから借りればいいし。銃もどうせ予備持ってるだろ、武器屋でバイトしてるんだし。」

「あら、随分私に期待してくれてるのね。でももうちょっとちゃんとしなさい。時間割くらいさっさと覚えたらどう?」


聞き慣れた声が耳に届いた。振り返ると、小柄な少女が目に入った。

灰色の髪に金色の瞳、そこそこ整った容姿。黒を基調とした制服がよく似合っている。

何と言っても貧乳でも巨乳でもない適度な美乳はやはりポイントが高い。

こんな思考が一瞬頭をよぎってしまった。我ながらキモい。なんかごめんなさい。


「おはよう、アルミナ。今日もちっちゃいな。」

「あら、低身長のほうが好みとか言ってたくせに。それに久しぶりと言った方が適切じゃないかしら?アラタが月火と学校を休んだからもう4日ぶりなのだけど。私がメッセージを送らなかったらどうせ今日も休んでたでしょう?」

「なんか体がだるかったんだよ…ほら、俺って旧人類並みに体弱っちいし。」

「これまで普通に学校これてたんだからただのサボりでしょうが。顔色も悪くないし、言い訳はやめてちゃんと毎日学校に来なさい。何がそんなに不満なの?」

「いや、不満とかは別にない」

「嘘吐き」


本当なんだがなぁ。別に学校自体に不満があるわけではない。なぜ登校しないのか、直接的な原因は何だと聞かれたらそれはやはりサボりでしかないのだ。

間接的原因まで上げると人によっては多少は同情してもらえるかもしれない。でも侮蔑の目を向けてくるものもいるだろう。

だから、サボりでいい。アルミナは気づいているかもしれないが、わざわざ俺の口から言うことでもない。俺は不真面目なタイプの人間。そういうキャラを貫く。それでいい。


そんな思考はおいておいて、とりあえずアルミナの髪に鼻をうずめて空気を吸い込む。

肌のにおいがする。


「やっぱアルミナいい匂いするわ。」

「平然とセクハラするのやめなさい。いちゃついてるなんて周りに思われたら嫌なんだけど」

「確かに」


相槌はうったが、やはりアルミナの匂いはなんだか落ち着く。できることならもっとじっくり嗅がせてほしいが、付き合ってるわけでもないのにそこまでしたらキモいだろうということで流石に控えておく。でもやっぱりいいにおいなんだよなぁ。


「シャンプーとか何使ってるの?」

「それは大学生活を送る上で必要な質問ですか?アラタさん。」


なんだか本格的に引かれ始めたようなので流石にここらでやめておく。TPOは弁えてるんだ。苦手だけど。


「大分話は戻るけど教科書と訓練用の銃かしてくださいな。」

「相変わらず図々しいわね…感謝しなさいよ。」

「マジで助かる。」


そんなやりとりをしているうちに教室についた。広い教室には既に半分ほど埋まっている。適当に2つ選んで並んで座り、機械語の教科書を横から見せてもらう。


機械語は遺跡探索で必須のスキルだ。西暦の遺跡を探索する際、内部構造の把握・扉の開閉・ルート確保、果ては機械系モンスターの管理権限掌握など幅広い活用方法がある。大学で学ぶ教養の中で最も重要と言っても過言ではない。

それだけ重要な科目だからこそ、普段は不真面目な自分でも機械語だけは気合いを入れて臨むのだ。

アルミナに言われた通り来週は遺跡探索、ここでこれまでの遅れを完璧に取り戻し完璧に準備を整えるのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「だめだ何も理解できなかった。終わりだ、来週の遺跡探索終わりだよ。」

「基本的なコードしか扱ってないじゃない…逆にどこがわからなかったのかがわからないのだけど」

「飛び級で入学してきた天才少女さんとは頭の作りが違うんですよ。こちとら合格者最低点ギリギリで入学してきた落ちこぼれくんですよ?」

「でも現役でしょうが」

「飛び級したアルミナがそれを言うか。…まぁ研究員志望なだけあって勉強は好きなのか。」

「好きというよりは嫌いじゃないだけよ。努力することが好きで、今は努力の対象が勉強に向かっているだけ。」


努力が好きって…何言ってんだこいつ


「何をそんなに引いた目で見てるのよ…そんなに珍しいことではないと思うわよ?それと、研究員志望なのは自分の適性からの判断よ。…私はハンターには向いてないから。」


低い身長、女性の中でも薄い体に細長い手足。体重も軽い。彼女はどう見ても戦闘に向いた体つきはしていなかった。彼女が体を鍛えようと努力していたのは俺もしっている。だが、神は彼女に天才的な頭脳を与えた代わりに身体能力を奪い去った。


「でも、私には頭脳がある。努力ができる精神力と価値観も持ち合わせてる。だから私は私なりの方法でモンスターを駆逐するために力を尽くすの。」


そう言った彼女の瞳には強い意志が輝いていた。

…そうだった。アルミナは強い奴だった。悲惨な経験をして一度心が折れたにも関わらず、彼女は前に向かって進んでる。

そんな彼女を見てると、支えたいと思う。

だから俺はハンターになって、彼女の手の届かない部分を補いたいと思ったんだ。




あけおめことよろです!

友達少なすぎて妹と高校の頃の先輩以外から「あけおめ」もらえませんでした。

まぁ高校同期にあけおめと言うついでに何人から「あけおめ」って来たか聞いたら0って言ってたので僕は勝ち組です。

辛い時は下を見よう。それではまた。

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