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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第八章

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Σ(゜д゜lll)  最強の魔女に勝つために(その一)

「――というわけだ。だましていて本当にすまない」


 ヴァンプラッシュ先生の話が終わった。


 シンデレラはおどろきをかくせない。


 テテルたちが『退学たいがく』になるという話はウソだった。シンデレラたちのだれかが王子さまと結婚けっこんする必要はない。


 すべては、現在の状況じょうきょうをつくり出すため。


 舞踏会ぶとうかいの会場、その近くにある一室。ここには今、シンデレラ、キナコ、フォーテシア、マルリアさん、テテル、クー、スティンクル、リプリスがそろっていた。


 シンデレラたち四人と、見習い魔女が四人。全員が仮面かめんはずしている。ドレス姿ではなく、元の格好かっこうもどっていた。


 部屋へやの中には他に、ヴァンプラッシュ先生とウルフェニックス先生がいる。


 今聞いたばかりの話を、シンデレラは頭の中で整理する。内容がりだくさんだった。


 なんでも三百年前、当時の人たちが最強の魔女ゴルディロックスを、このおしろの時計台に封印ふういんしたらしい。


 しかし、その時計台だけでは、封印ふういんは不十分だった。


 そこで新たな時計台を建設。


 それが、テテルたちの学校にある時計台だという。


 双子ふたごの時計台による封印ふういんは、長い間続いた。


 しかし、いつかは終わりがくる。


 さっきヴァンプラッシュ先生が言っていた。


 ――今夜、最強の魔女ゴルディロックスが復活ふっかつする。


 そのことは、エクスアイズ先生の『未来みらい予知よち』で以前からわかっていたらしい。


 シンデレラは心の中でつぶやく。


(この世界には魔女がいる)


 い魔女と、わるい魔女だ。


 テテルたちはい魔女。


 もともとは、その最強魔女ゴルディロックスも、い魔女だったという。テテルたちの学校にかよっていた。言うなれば、三百年以上前の大先輩だいせんぱいだ。


 が、やがてわるい魔女になった。


 邪道じゃどうとされる魔法まほう研究けんきゅうにのめりみ、特に生命に関する分野ぶんやで、禁忌きんきの実験をり返していたらしい。


 そうやって身につけた強い力で、この世界を自分の思うままにしようとした。


 そして、戦いになる。


 三百年前、最強の魔女ゴルディロックスを完全にたおすことはできなかった。封印ふういんするのが精一杯せいいっぱいだったという。


 現在でも、それは変わらないらしい。完全にたおすことはできない。


 では、どうするのか? もう一回、その魔女を封印ふういんするのか?


 最強魔女ゴルディロックス復活ふっかつを、エクスアイズ先生が『未来みらい予知よち』した日、あの日からヴァンプラッシュ先生たちは考え続けてきた。


 しかし、答えは見つからない。どの方法も絶望の未来みらいへとつながっている。


 そんな時だ。


 ある日をさかいに、エクスアイズ先生が別の『未来みらい予知よち』をするようになった。


 それは、テテルが『いかり花火』をなくした日。『いかり花火』とは、特殊とくしゅな『魔法マジック道具アイテム』だ。いかりの感情を蓄積チャージさせることで、花火の威力いりょくすことができる。


 テテル、クー、スティンクル、リプリスの四人は、入学当時から考えていたことがあった。


 卒業前のイタズラで、この学校にある時計台を破壊はかいする。


 かつて多くの先輩せんぱいたちが挑戦ちょうせんしたが、いまだれ一人ひとりとしてげていない。


 あの時計台の『不敗ふはい伝説でんせつ』を、自分たちが終わらせる。新たな『伝説でんせつ』を打ち立てるのだ。そのための秘密ひみつ兵器へいきが、『いかり花火』である。


 そんな『いかり花火』の一つを、テテルがなくした。それを同日どうじつ、ヴァンプラッシュ先生が偶然ぐうぜんひろった。


 その日をさかいに、エクスアイズ先生が別の『未来みらい予知よち』をするようになったという。


 エクスアイズ先生の『未来みらい予知よち』は、絵を描くことで未来みらい情報じょうほうを得る。


 最強魔女ゴルディロックス復活ふっかつに関して、ここ何年間はずっと同じ絵ばかりだった。固定された最悪の未来みらいだ。


 ところが、ヴァンプラッシュ先生が『いかり花火』をひろった日から、エクスアイズ先生はちがう絵も描くようになった。もう一つの未来みらい。運命が変わる可能性が出てきたのだ。


 この部屋へやにある一枚の絵、それにシンデレラは視線を向ける。


 先ほどの説明でもれていた。


 そこに描かれているのは、自分たちだ。ドレス姿ではなく、今と同じ格好かっこうをしている。


 シンデレラ、テテル。


 キナコ、クー。


 フォーテシア、スティンクル。


 マルリアさん、リプリス。


 八人の背景はいけいにあるのはたぶん、このおしろの時計台だ。


 絵の中の時計台は、十二時を少しぎた時間をしている。周囲しゅういが暗くなっているので、昼の十二時ではなく、夜の十二時だろう。


 そして、絵の中のシンデレラは、使用済みの『いかり花火』を手にしている。


 おしろに向かう道中で、シンデレラは未使用のそれをひろっていた。


 テテルとリプリスがヴァンプラッシュ先生と戦った直後だ。


 その花火をあらためて確認してみる。棒状ぼうじょう物体ぶったいで、虹色にじいろのテープがぐるぐるにかれていた。


 これが『いかり花火』。テテルが入学当時からずっといかりの感情を蓄積チャージし続けた、秘密ひみつ兵器へいきなのか。


 リプリスの言葉をりるなら、「ものすごい威力いりょくになっていると思います」。


 つまり、この『いかり花火』なら、最強の魔女ゴルディロックスに通用するかもしれない。


 これは重要なことだ。なにせ、ゴルディロックスとの戦いに、先生たちは参加しないのだから。


 他に役割やくわりがある。戦いのあとに、最強の魔女ゴルディロックスを封印ふういんするのだ。


 ただし、過去かこ封印ふういんしたのとは、別の方法を使う。


 同じ方法では、いずれ最強魔女ゴルディロックス復活ふっかつするらしい。あの魔女は「ほとんど不死身ふじみ」なので、たおしてもたおしても、時間がてばよみがえってくる。


 しかも、そのたびに強くなっていくのだとか。いつかはたおせなくなる、そんな時がくるにちがいない。


 だから、今回ここ最強魔女ゴルディロックスとの戦いに終止符しゅうしふを打っておきたい。そうヴァンプラッシュ先生がかたっていた。


 方法ならある。『異世界への封印ふういん』だ。


 仮死状態になったゴルディロックスを、こことは別の世界へと飛ばす。魔力をすべてうしなった状態にして、その世界の生き物に転生させる。そうすればもう、この世界にもどってくることはできない。


 禁忌きんきの魔法の中でも、最上位の魔法だ。ヴァンプラッシュ先生、ウルフェニックス先生、エクスアイズ先生はそれに専念せんねんするため、最強魔女ゴルディロックスとの戦いには参加できないという。


 では、先生たちのわりにだれが、最強の魔女と戦うのか。


 さっきヴァンプラッシュ先生は次の名前をげた。


 テテル、クー、スティンクル、リプリス。


 まだ見習いの魔女たち。


 しかし、だからこそ、勝てる可能性があるという。


 もともと、テテルたちの学校にある時計台からは、少しずつだが最強魔女ゴルディロックスの力がれ出していた。


 といっても、その力の影響えいきょうを受けたところで、せいぜいがイタズラをしたくなる程度ていど


 ぎゃくに、最強魔女ゴルディロックスの力に普段からさらされているため、それに対して、いくらかの抵抗ていこうりょくが身についている。


 つまり、あの学校の生徒せいとたちには、最強魔女ゴルディロックスの力がきにくい。


 より多くのイタズラや派手はでなイタズラをする生徒せいとほど、その傾向けいこう顕著けんちょになる。


 そういう意味でテテルたち四人は、「歴代れきだいでも屈指くっしの問題児」だとか。


 と同時に、「歴代れきだい屈指くっしの優等生」でもある。


 たとえば、スティンクル。ウルフェニックス先生の必殺技ひっさつわざこう収束しゅうそく』、あれを使うことができた生徒せいとはこれまでに、彼女だけだ。


 また、リプリスが使う魔法に、魔法陣まほうじんから自動販売機を出現させるものがある。あれを使うことができた生徒せいとは、過去かこに数人しかいない。あの魔法をリプリスは平然へいぜんと使う。そこまで使いこなしたのは彼女だけだ。


 だが、相手は最強の魔女。当然とうぜんながら、いのちの危険がともなう。


 そんな戦場に自分たちの教え子を送り出すことに、強い葛藤かっとうもあったらしい。


 そもそも、テテルたち四人で本当に、最強の魔女ゴルディロックスに勝てるのか?


 可能性ならある。テテルがそだてた『いかり花火』だ。あれを最強魔女ゴルディロックスにぶつけることができれば。


 そして、もう一つ。


 さっきは言わなかったが、ヴァンプラッシュ先生には何か秘策ひさくがあるらしい。


 それが何かをシンデレラが勝手に予想していると、ヴァンプラッシュ先生が突然とつぜん


「シンデレラ、この戦いにあなたも参加してしい」


 は?


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