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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第七章

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Σ(゜д゜lll)  その効果は六時間

 早く必殺技ひっさつわざを使ってみたくて、金髪の王子がうずうずしていると、


「そのカードには、どんな効果があるんだ?」


 リチャードが不安げな顔で、銀髪の執事しつじに質問した。


「女性に声をかけると強制きょうせいてきに、このしろの外に『瞬間移動テレポーテーション』します。カードの効果は六時間」


 平然へいぜんげる執事しつじ


 途端とたんにリチャードの表情がくもる。


 つまり、舞踏会ぶとうかいに参加しても、会場内にとどまり続けようと思ったら、女性に声をかけてはいけない。


筆談ひつだんは?」


禁止きんし事項じこうふくみます。手話しゅわもです。ボディーランゲージもです」


「・・・・・・」


 リチャードが真剣しんけんに考えんでいる。何かけ道がないかをさがしているのだろう。


 そんな様子ようすを見ながら、金髪の王子はがっかりした。この感じだと、リチャードはここから逃走とうそうしそうにない。


必殺技ひっさつわざを使ってみたかったな。『王家おうけ反撃はんげき断頭台だんとうだいがえし』)


 とはいえ、すぐに気持ちを切りえる。


 さて、執事しつじからの提案に、リチャードはどう答えるのか。


 考えられる選択肢せんたくしは、次の二つだろう。


 一つは、舞踏会ぶとうかいに参加するという選択肢せんたくしだ。しかし、それだと女性に声をかけてはいけない。


 もう一つの選択肢せんたくしは、舞踏会ぶとうかいが終わるまで、このしろ地下牢ちかろう孤独さみしさ体験エンジョイするもの。


 リチャードが何やらぶつぶつ言っている。「舞踏会ぶとうかいが明日のあさまで続けば・・・・・・」とか聞こえてくる。


 そんなことはあり得ないのに、


「そのカードの効果は、今から六時間だな?」


 リチャードが真面目まじめな顔で確認してくる。


「そうです。六時間です」


「わかった。非常にくるしい決断だが、その条件をもう。やってくれ!」


「それでは」


 銀髪の執事しつじが魔法を発動させる手順てじゅんむ。


 この魔法には「対象者たいしょうしゃ自身による許可きょか」が必要だ。それは、今のリチャードの言葉でたしている。


 ただし、金髪の王子は気づいていた。


 執事しつじはすべてを説明していない。一つだけつたえていないことがある。


 この魔法、女性に声をかける以外にも、対象者リチャードしろの外に『瞬間移動テレポーテーション』させる、そんな条件が存在するのだ。


 その条件とは、エクスアイズ先生や他の先生たち、彼らのだれかと話した場合。


 該当がいとうするのは四人で、エクスアイズ先生、ウルフェニックス先生、ヴァンプラッシュ先生、そして、ゾーンビルド先生だ。


 もしも、リチャードが何か面倒めんどうを起こすようなら、そっちの方法でしろの外にほうり出せばいい。そう執事しつじは考えているのだろう。


「『刻印』」


 銀髪の執事しつじげると、カードが光をはなった。


 そのあと消滅しょうめつする。


 と同時に、リチャードの全身が強い光につつまれた。


 が、それもすぐにやんだ。


 リチャードは自分の体に異変がないかを目でたしかめながら、


「これで舞踏会ぶとうかいに参加してもいいんだよな?」


「どうぞ、おきになさってください。ただし、言動にはお気をつけを。女性に声をかけると、わかっていますね?」


「わかっている。今から六時間だろ。余裕よゆう余裕よゆう


 にやにやするリチャード。


 そっちの話がまとまったところで、金髪の王子は切り出した。


「とりあえずリチャード、その格好かっこう駄目だめだ。着替きがえた方がいい。俺たちと同じように、旅の騎士ということにしろ」


「ん? そういや、お前とそいつ、何で旅の騎士の格好かっこうをしているんだ? 今夜って仮面かめん舞踏会ぶとうかいのはずだよな? 仮装かそうパーティーではなく」


 くわしく説明するのが面倒めんどうに感じたので、


余興よきょうだ」


 一言でませる。


「なるほど。余興よきょうか。いい心がけだ。客をもてなすのは、主催者しゅさいしゃつとめだしな」


 リチャードは納得なっとくしたらしい。


 金髪の王子はばやく考える。このあと三人で衣装いしょう部屋べやの方に、いや、その前に洗面所せんめんじょか。リチャードの顔にあるサインペンのらくき、あれを先に消した方がいい。


 こうして二人の王子と執事しつじ城内じょうないを移動しているころ、クーとキナコの二人はおしろ宝物ほうもつせまっていた。


 ところが、あと少しという地点で発見する。


 見張みはりの兵士が二人、うつせで廊下ろうかたおれていた。


 二人とも全身をなわしばられた状態で。


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