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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第六章

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Σ(゜д゜lll)  招かれざる客(後編)

「それって、クーとスティンクルかも」


 テテルがつぶやいた。


 何かを偽造ぎぞうする魔法、その実力は四人の中でリプリスが突出とっしゅつしているという。彼女の担任たんにんのエクスアイズ先生が、そっちけいの魔法を得意にしているのだとか。


 対照たいしょうてきにスティンクルは、この魔法がだいの苦手らしい。で、クーは普通。


 あの二人のどちらか、おそらくはクーの方だと思うが、魔法で『招待状しょうたいじょう』を偽造ぎぞうしたが不備ふびがあり、そのせいで少しおくれて機械が誤作動ごさどうを起こしたのではないか。


「と、私は考える」


 シンデレラもテテルを支持しじした。魔法で偽造ぎぞうした『招待状しょうたいじょう』なんて、そんじょそこらで手に入るとは思えない。機械を故障こしょうさせた「まねかれざる客」は、クーとスティンクルと他二名キナコとフォーテシアで決まりだ。


 そのあとで、ふと考える。


(でも、あの四人なら)


 そこまで得意じゃない種類タイプの魔法にたよらなくても、自力で城壁じょうへきをよじのぼって侵入しんにゅうできそうではある。


(あ、でも、今はドレス姿なのか)


 さすがに、それで城壁じょうへきをよじのぼるのは無理かもしれない。


 ということはやはり、


(あの四人も使ったな、魔法で偽造ぎぞうした『招待状しょうたいじょう』を)


 一人で納得なっとくするシンデレラ。


 さて、何はともあれ、ついに念願ねんがん舞踏会ぶとうかいだ。


 おしろ中庭なかにわは、たくさんの花々とカラフルなあかりにいろどられている。ここを進む一歩一歩が、舞踏会ぶとうかいへの「素敵すてきなカウントダウン♪」。


 シンデレラたちがわくわくしながら中庭なかにわを歩いていると、


「ようこそおしくださいました。舞踏会ぶとうかいの会場までご案内いたします」


 黒い燕尾服えんびふくを着た男性が前方からやって来て、うやうやしくお辞儀じぎをしてくる。


 この男性はおしろの案内係で、


「今夜は仮面かめん舞踏会ぶとうかいになります。よろしければ、こちらの別室にてお好きな仮面かめんを、おえらびいただくことができますが」


 自分たちで仮面かめんを用意してこなかったので、シンデレラたちはその提案に素直すなおしたがう。


 案内係の男性についていくと、途中とちゅうで急にテテルが足を止めた。ほとんど同時にリプリスもだ。


 何かに気づいたらしい。二人が見上げている先は、一番近くにあるおしろの建物ではないみたいだ。その向こう側だろうか?


 シンデレラもテテルたちと同じ場所に視線を向けてみる。えーと、あの辺かな。おしろとうとうの間だ。


 その向こう側に、古い時計台があって、上の部分だけが見えている。


「学校にあるのと同じ」


 テテルとリプリスが同時につぶやいた。


 そのあと、二人はひそひそ声になると、


「あの形、どうも破壊はかいしてみたくなる」


「気が合いますね。私も今、それを考えていました」


 案内係には聞こえていないだろうが、物騒ぶっそうなことを言い始める。


 これにはまゆをひそめるシンデレラ。せっかく苦労してここまでたどり着いたのに、そんなテロをされたら、すべてが「おじゃん」になってしまう。おしろの兵士たちが集団で飛んでくるにちがいない。


 スティンクルが言い出すならともかく、テテルもリプリスも普通にかしこいのに、こういうあぶないことを思いつくなんて、やはり魔女だからなのか?


 こっちはまだ、おしろ舞踏会ぶとうかいを一ミリも楽しんでいないので、


(そのわるだくみ、何が何でも阻止そしする!)


 それが常識人じょうしきじんとしてのつとめだろう。魔女のおりをするのも大変だ。どうしても破壊はかいしたいのなら、舞踏会ぶとうかいが終わったあとにでもやってくれ。


 しかし、シンデレラは知らない。


 この時、舞踏会ぶとうかいの会場でもクーとスティンクルが、まどの外に見える時計台をゆびしながら、「何が何でもぶっこわしたい!」、そんな衝動しょうどうと戦っていた。


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