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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第六章

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Σ(゜д゜lll)  招かれざる客(前編)

 五分ほどして、機械の修理から顔を上げるマルリアさん。


 はればれとした表情で、門番の一人にげた。


応急おうきゅう処置しょちですけど、これで今夜は乗り切れると思います」


 そのあとで、こうもつけくわえた。


「お手数てすうですが、明日にでも当社とうしゃのお客さまセンターにご連絡れんらくください。担当たんとうの者がすぐに回収にまいりますので」


「はい、わかりました」


 きびきびと返事をする門番。


 マルリアさんは工具を置くと、両手をかるくはたいてから、


「この応急おうきゅう処置しょちで問題ないか、ねんのためにテストします」


 そう言うと、リプリスの方を向いて、


「私たちの『招待状しょうたいじょう』を」


「あ、はい!」


 このあと、偽造ぎぞうした『招待状しょうたいじょう』が機械の中に入っていく。


 その様子ようすを見守りながら、シンデレラは少し緊張きんちょうしていた。


(ニセモノだと、ばれたりしないよね?)


 でも、今ならマルリアさんがいる。機械の誤作動ごさどうがあっても、まだなおっていなかったとか、言いのがれができるかも。


 そんなシンデレラの心配をよそに、偽造ぎぞうした『招待状しょうたいじょう』は無事ぶじに機械を通過した。何の問題もなかった。リプリスが安堵あんどしている。


 この直後にマルリアさんが、


「やるね」


 小さくつぶやいたのを、シンデレラは聞きのがさなかった。


 おそらくだけど、自社の最新機種の偽造ぎぞうチェックをあっさり突破とっぱされたことで、闘志とうしに火がついたらしい。リプリスという強い好敵手ライバルの登場によろこんでいる印象いんしょうを受けた。


「それじゃあ、私たちはおしろの中に入っても」


「もちろんですとも、マルリアさん。本当に助かりました。ご一緒いっしょのおじょうさまがたも、どうぞお通りください」


 門番たちに敬礼けいれいされながら、シンデレラたちは前に進む。おしろの中に入ることができた。やったね♪


 その直後に気づいたのだが、リチャード王子の姿がいつの間にか消えている。どうやら、門番たちの目をぬすんで、うまくおしろの中に侵入しんにゅうしたらしい。


(ということは・・・・・・)


 ある事実に気づいて、シンデレラは本気のため息をつく。


 リチャード王子とはまだ、おしろの中に入るのを手助けする値段ねだん交渉こうしょうが、完全には終わっていなかった。


 なので、契約けいやくは成立していない。もらえるはずだった小切手こぎってが、頭の中で爆散ばくさんした。


 シンデレラたち四人はおしろ中庭なかにわを歩いていく。


 さっきの機械が故障こしょうした原因げんいんを、リプリスがマルリアさんにたずねていた。


「えーとね、専門せんもんてきなことをかなりはぶいて、ざっくり説明するなら、機械内部の魔力感知システムが異常値いじょうち検出けんしゅつしたっぽい」


 マルリアさんは小さくいきぎをすると、


「その原因げんいんとして考えられるのは、次の二つかな」


 大きな異常値を一度に検出けんしゅつしたか。


 または、小さな異常値を短時間に何度も検出けんしゅつしたか。


「この種類タイプ故障こしょうは、時間を置いてからおもてに出てくることもある」


 だから、その時にチェックしていた『招待状しょうたいじょう』や、直前の『招待状しょうたいじょう』がかならずしも「アウト」なわけではない。


 もっと前に読み取らせた『招待状しょうたいじょう』による影響えいきょう、というのも普通に考えられる。小さな異常値を短時間に何度も検出けんしゅつした場合だったら、特に。


「しかし、今の段階ではまだ、二つの可能性のどちらなのかを断言だんげんすることはできないかな。あの機械を回収して会社でくわしく調しらべてみないと。でも、これだけは言えるかも」


 マルリアさんは声量せいりょうを落とすと、


「私たち以外にも、魔法で偽造ぎぞうした『招待状しょうたいじょう』を使って、おしろの中に入った人、または、人たちがいる」


 いわゆる「まねかれざる客」だ。リチャード王子みたいなやつ


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