表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/132

Σ(゜д゜lll)  私が合図をしたら

 シンデレラはテントの下に着いた。


 特撮とくさつヒーローのような金属スーツを着た人物がいる。『メタルゾンビ』のゾーンビルド先生。


(本当に強そうだな)


 味方ならたのもしいのだろうけれど、今はぎゃくだ。最悪の場合、この先生相手に強行きょうこう突破とっぱすることになる。


 どこかに付け入るすきはないかと、シンデレラが目でさぐっていると、


「ここはまかせる。しろ周囲しゅういを少し見てくる」


 そう門番たちにげて、ゾーンビルド先生はテントからはなれていった。


 テテルやリプリスの存在には、さすがに気づいていると思う。あと、リチャード王子にも。


 なのに、持ち場をはなれたのだ。


(これって、千載せんざい一遇いちぐう好機チャンス?)


 というよりも、最初からテテルたちと戦う気がなかったような・・・・・・。


 ――この機械を修理できたら、おしろの中に入っていいぞ。


 そういうことなのかもしれない。戦闘バトルしなくてみそうなので、一安心ひとあんしんするシンデレラ。


 直後に、マルリアさんからの指示しじが飛んでくる。


「今から金属板きんぞくばんの一つをはずすので、そこをさえていて」


 素直すなおしたがうテテル。


 すでにリプリスは、機械から出ているけむり団扇うちわでパタパタしている。これには、邪魔じゃまけむりをよそに送る以外に、機械自体をやす意味もあるっぽい。


 マルリアさんが複数の工具を持ちえたり、その持ち方を変えたりしながら、いくつものネジをはずしていく。


 シンデレラは思わず見とれていた。


 ドレス姿のマルリアさんに、「タイムアタック」をしている感じはない。なのに、異常に速いのだ。


 しかも、見ていて作業さぎょううつくしい。まるでダンスをしているかのように、次々とネジが回転していく。


 金属板きんぞくばんの一つをあっさりはずし終わると、それをテテルにあずけて、マルリアさんは機械の中をのぞきんだ。小型ライトを使って、内部を確認している。


「たぶん、こういうことだと思うんだけど」


 そうひとごとを口にすると、シンデレラにも役割やくわりってくる。


「私が合図あいずをしたら、そこのボタンをしてね」


 何だか、ものものしいボタンだ。


 機械の種類によっては、「みだりにさない方がいい」ようなボタン。黒と黄色のしま模様もようが、赤いボタンの外側をかこんでいる。さすがに、「自爆じばくようボタン」とか、そのご兄弟きょうだい・ご親戚しんせき・お友だちではない、と思いたいけど・・・・・・。


 マルリアさんは左右さゆうの手をそれぞれ、機械の別々の場所にあてると、


「はい、して」


 かるげてくる。


 おそるおそる赤いボタンにれるシンデレラ。


 これをしちゃって本当に大丈夫だいじょうぶかな、とか余計よけいなことは考えないようにする。自分の思考をほぼゼロにして、指示しじしたがった。だってマルリアさんは、この機械の専門せんもんみたいだし。


 ボタンをすと、機械の中から音が消えていく。どうやら、電源のオンオフにかかわるボタンだったらしい。


 マルリアさんは機械にあてている左右さゆうの手、その位置を少し移動させてから、


「はい、して」


 今度もシンデレラはしたがう。機械がさい起動きどうした。


 が、またしても、


「はい、して」


 これが最後だった。ボカーン、ではなく、機械がふたた沈黙ちんもくする。


「ありがとう。問題のある場所がわかった」


 予想していなかった言葉に、シンデレラは耳をうたがう。


(え、今ので? 少し電源をオンオフしていただけでしょ)


 しかし、マルリアさんにはちゃんと、故障こしょう原因げんいんがわかっているみたいだ。


 あとで本人から聞いた話によると、故障こしょうしていそうな範囲はんいをある程度ていどしぼってから、機械の振動しんどう発熱はつねつ調しらべていたらしい。


 異常がある場所や、その近くには、普通とちがう反応が出やすいという。それを手のひらの感覚かんかくさぐっていたのだ。


 門番の一人が言うには、このスピードで「機械の異常いじょう箇所かしょを特定できる」のは、ここら一帯いったいではマルリアさんくらいだとか。


 しかも、「特定後の応急おうきゅう処置しょちも得意」で、『ほうらいたまえだカンパニー』のマルリアさんといえば、その道では結構けっこうな有名人。普通の職人しょくにんが三時間かかるような仕事を、一時間くらいで終わらせるらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ