表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/132

Σ(゜д゜lll)  これ、どうする?

 シンデレラたち四人、そして、ニセ執事しつじのリチャールは、おしろの正門前でカボチャの馬車を降りた。


 正門前には、むかえの楽隊がくたいがいるし、門番もいる。


「お手元に『招待状しょうたいじょう』をご準備じゅんびください。おしろにお入りいただく前に、確認させていただきます」


 これは問題ない。リプリスが偽造ぎぞうした『招待状しょうたいじょう』がある。


 ところが、この直後に「ある物」を見つけた。


 懸賞金けんしょうきんつきの指名しめい手配書てはいしょだ。正門近くの城壁じょうへきにたくさんってある。


 ――この顔か、これにた顔を見かけたら、「おしろ」か「りの警察」まで、かならずご連絡れんらくを。なさけは無用です。


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


 シンデレラたち四人は無言のまま、うしろをふり返る。


 ニセ執事しつじのリチャールは、どこにかくし持っていたのか、「つけヒゲ」を自分の顔に追加ついかしようとしていた。はなの下につける、ぎゃくカモメ型のヒゲだ。


「テテル、サインペンある?」


 シンデレラが言うと、テテルが『異空間収納べつばら』の魔法で、「サインペン」を出した。この魔法も便利そうなので、あとで教えてもらいたいものだ。


 サインペンをりると、シンデレラは落書きを始める。


 指名しめい手配書てはいしょの一枚に、リチャールと同じヒゲを書きくわえた。


てる」


「ほぼそっくりですね」


「これは誤魔化ごまかせないような・・・・・・」


 以上、テテル、リプリス、マルリアさんの率直そっちょくな感想だ。


 おしろに入る時に、門番が同じことをしてきたら、一発でリチャード王子だとばれてしまう。自分たちまでえになるかも・・・・・・。


 とりあえず、だれかに見られたらまずい。


 リチャード王子にはしゃがんでもらい、シンデレラたち四人で取りかこんだ。


「これ、どうする?」


 緊急きんきゅう会議を開く。


 少し話し合ったあとで、シンデレラはリチャード王子に切り出した。


「じゃあ、そういうことなんで」


 とおまわしに言ってみる。


「・・・・・・見捨みすてるつもりか?」


「ご要望ようぼうの通り、おしろにはれてきましたよ。そういうわけで、約束の謝礼しゃれいをいただきたいかなー、なんて」


「なるほど。ここで俺を見捨みすてて、自分たちだけ舞踏会ぶとうかいを楽しんでくるつもりか。いいよな、美味おいしい料理に、美味おいしい飲み物」


 そう言うと、リチャード王子がマッチばこを取り出した。


 その中の一本に火をけると、


「『マッチ売りの少女』って話を知っているか?」


 うらみの視線を向けてくる。


「はて? 王子さまほど教養きょうようがないもので、まったく知りません。見たことも聞いたこともありません。その話、ハッピーエンドですか? だといいなぁ~」


 堂々とウソをつく。


 リチャード王子はマッチの火を消すと、長いため息をついた。


「まあ、当然とうぜんだろうな。俺がお前たちの立場でも、たぶん同じようにすると思う。適切てきせつ判断はんだんだ。ここまで色々あったが、おおむね感謝かんしゃしている」


「そんなことを言っておいて、近日中に王子直属の大部隊が、国境こっきょう沿いにいかりの広域こういき展開てんかいとか、そういうのはナシですよ♪」


「するか! 感謝かんしゃしているのは本当だ。おんあだで返すようなまねはしないさ」


 リチャード王子は小切手こぎってにペンを走らせると、


「本当に助かった」


 まわれ右をして、マルリアさんにわたした。


 両手を前にき出して、受け取る気満々だったシンデレラ。それを無視してである。


「え、私にわたすのが当たり前じゃ。私の中にいる私全員が今、王子に猛抗議ブーイングしていますけど」


「他の三人なら、だれわたしてもいいと思っているが、お前だけは絶対にない。少しの間、だまってろ」


 なぜかテテルもうなずいている。リプリスとマルリアさんも味方してくれないし・・・・・・。


「そういうわけで、マルリアじょう、リプリスじょう、テテルじょう、ここまで世話せわになった。三人とも本当にありがとう」


 そのあと、リチャード王子はシンデレラに顔を近づけてくると、急にひそひそ声になって、


「お前のわる知恵ぢえ見込みこんで話がある。別料金でどこまで協力きょうりょくしてくれる?」


 おしろの中に入るのを、完全にあきらめたわけではないらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ