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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第六章

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Σ(゜д゜lll)  好意的な敵意(後編)

 王子は内心でおどろく。


 リチャードは決して弱くはない。異常にしぶとくて、まるでゾンビだ。


 それを、「ほぼ瞬殺しゅんさつ」だと・・・・・・。


 あの女の子、一撃いちげき必殺ひっさつ特化とっかしているタイプだろうか? 初見しょけんごろしのわざを使ってくる可能性もある。


「彼女に負けた直後、リチャード王子は苦痛くつうのあまり、さけび声を上げ続けていた、とも聞きました」


 店からかつぎ出されたリチャード王子は、全身が真っ赤だったとか。目鼻めはなみみから赤い液体えきたいを流していた、そんな目撃もくげき情報じょうほうもあるという。


「それで、彼女のことを、『鮮血せんけつのキナコ』とぶ者もいるとか」


「その一人がお前というわけだな。そんなに強いのか」


「彼女が戦っているところを実際じっさいに見たわけではありませんが、とにかくあまく見ないことです。戦うのをやめたいのなら、今の内ですよ」


「そうだな。やめておくかな」


 直後に王子はニヤリと笑って、


「とでも、俺が言うと思ったか」


「でしょうね」


 ため息をつく執事しつじ


「ほどよくボコボコにされちゃってください。それもい経験になるでしょう」


「その期待きたいにはこたえられないかもな」


 王子は考える。


 戦いには相性あいしょうがある。あの『鮮血せんけつのキナコ』が一撃いちげき必殺ひっさつ特化とっかしていようが、初見しょけんごろしのわざを使ってこようがかまわない。


 王子という立場上、自分は「反撃カウンターけい」のわざを得意としている。「反撃カウンターけい」の戦闘せんとうスタイルは、刺客しかくなどに対処たいしょしやすいからだ。


 なので、初見しょけんごろしのわざもそこまで脅威きょういとは思わない。


(一人でこっそり練習れんしゅうしてきた必殺技ひっさつわざ、『王家おうけ反撃はんげき断頭台だんとうだいがえし』を使うとするかな)


 そのわざで、あの女の子に勝った時、この執事しつじがどんな表情をするのか、今から楽しみだ。


 突然とつぜん、おしろの外がさわがしくなる。正門の方だ。


 ここにきて、たくさんの馬車が一気に到着したらしい。


「どうやら、ウルフェニックス先生がもどられたようですね」


「それではさっそく、『鮮血せんけつのキナコ』に対戦のもうみをするとしよう。ダンスの前に、まずはパンチかたり合ってくる」


「ですから、今夜はご自重じちょうください。非常に大事な夜です。王家の存亡そんぼうがかかっていることをおわすれなく」


「・・・・・・」


 王子は数秒間、執事しつじにジト目をする。


 そのあと、元の表情にもどると、


「わかっているさ。だから、下手へた冗談じょうだんの一つでも、こうして口にしたくなる。でないと、不安に押しつぶされそうだ」


「ですね」


 金髪の王子と銀髪の執事しつじはほとんど同時に、それまで見ていた閉じたまどから、別の開いたまどへと視線をうつした。


 その先にはおしろ裏庭うらにわがあり、古い時計台が建っている。


 あの時計台には秘密ひみつがあった。


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