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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第六章

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Σ(゜д゜lll)  好意的な敵意(前編)

 キナコからのあつい視線。


 本物の王子たちは、それに気づいていた。


 とはいえ、彼女を直視はしない。


 今は夜だ。この大広間は明るく、外は暗い。まどかがみわりに利用できる。


 そうやって相手の様子ようすさぐりながら、金髪の王子は銀髪の執事しつじに小声で話しかけた。


「あの子、こっちをじっと見ているが、どう思う?」


 自分たちの正体が、ばれたのだろうか。あっちにいる王子は「かげ武者むしゃ」で、こっちにいるのが「本物」だと。


 しかし、あやしんでいる視線とは、どこかちがう気がする。


 かといって、こちらにれている、という感じでもないような・・・・・・。


 あのなぞの視線、それをどうにか言葉であらわすとしたら、


好意こういとは少しちがうみたいですね。『好意こういてき敵意てきい』とでも言いましょうか。そんな視線に思います」


 先に執事しつじが口にする。


 王子も同意した。


「たしかに、そういう感じだな。『好意こういてき敵意てきい』か」


 別の言葉に置きえるなら、『ライバル意識いしき』とかが近いだろうか。刺客しかくなどがはなちそうな敵意てきいとはちがう。彼女から殺意さついは感じなかった。


「あの子、かなり強いな」


 ドレス姿ではあるものの、なかなかのたたずまいだ。あのすきのなさは、一朝いっちょう一夕いっせき体得たいとくできるものではない。


「ぜひとも手合わせしてみたいものだ」


 王子はほんのりと笑みをかべる。


 もちろん負けるつもりはない。だが、簡単かんたんに勝てるとも思えない。そのくらいの好敵手こうてきしゅだ。そういう相手をさがしていた。


 自分の周囲しゅういには、好敵手こうてきしゅべる者がいない。


 戦闘せんとうめんでの王室家庭教師、ウルフェニックス先生やゾーンビルド先生は強すぎる。実力の差がありすぎた。好敵手こうてきしゅになりようがない。


 また、この銀髪の執事しつじに戦いをいどんでも、「王子の警護けいごがありますので」とことわってくる。


 そんな声を無視して、こちらから攻撃こうげき仕掛しかけても、ずっと回避かいひし続けるだけだ。相手にしてくれない。


 しかし、あの女の子はちがうようだ。彼女が相手なら、楽しい勝負を期待きたいできる。実力の拮抗きっこうした者同士の、本気の戦闘バトルだ。


「そろそろ、お前とかたならべたいしな」


 王子は執事しつじに笑いかける。


 執事しつじはすでに「免許めんきょ皆伝かいでん」だ。それに対して、王子はその一歩手前。先をされてしまっている。


 ウルフェニックス先生から出されている「免許めんきょ皆伝かいでんの条件」は、「強いやつと戦って勝利すること」。


 あの女の子なら、相手としてもうぶんないだろう。先生もみとめてくれるにちがいない。


「ウルフェニックス先生がもどってきたら、彼女に対戦をもうむぞ」


「今夜はご自重じちょうください。非常に大事な夜です」


 それを聞いた王子は、にこにこしながら執事しつじを見つめる。


 ひたすら無言で見つめ続ける。


 執事しつじが顔をそらしたので、そっち側にまわって、にこにこ見つめ続ける。


 そうやって数分後、


「・・・・・・後日、彼女と戦う機会をもうけますから、今夜はご自重じちょうください」


 執事しつじれた。


「ただし、先におことわりしておきますが、彼女はかなり強いですよ」


「有名なやつなのか?」


「その道ではわりと。『おだんご屋さん』の用心棒ようじんぼうをしているむすめで、名前はキナコ。隣国りんごくのリチャード王子がおしのび中に、無謀むぼうにも彼女に戦いをいどみ、負けたそうです。しかも、ほぼ瞬殺しゅんさつだったとか」


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