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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第六章

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Σ(゜д゜lll)  少し気になる相手がいる(前編)

 テテルとリプリスによる「しゃれにならない冗談じょうだん」から、シンデレラが無傷むきずで解放されているころ


 おしろの大広間では舞踏会ぶとうかいが始まっていた。


 大広間の中は、実にはなやかだ。特別製の巨大シャンデリアや、豪華ごうか調度ちょうどひんの数々。


 そういった人工的なうつくしさだけでなく、大広間のあちこちには、季節の花々がかざられていた。


 この舞踏会ぶとうかいは立食形式で、どのテーブルの上にも、美味おいしそうな料理がならんでいる。


 その大半が、カボチャをメイン食材にしたものだ。他に、ナスやピーマンの料理もある。


 そして、はなやかな服装ふくそうの参加者たち。


 といっても、その数はそこまで多くなかった。おかげで、会場内には空間が目立めだっている。


 そこにキナコとクーがやって来た。


 今夜は仮面かめん舞踏会ぶとうかいだ。自前で用意してこなくても、おしろ仮面かめんしてくれる。


 そういうわけで今、ここにいる全員が「顔の上半分」に、何かしらの仮面かめんを着けていた。料理や飲み物をはこんでいる人たちや、楽器がっき演奏えんそうしている人たちも例外ではない。


 この中から、フォーテシアとスティンクルを見つける必要があった。


 大変かもと思ったけれど、スティンクルを見つけるのは簡単かんたんだった。


 この中で一番、おさらに料理を高くりつけている。その超絶ちょうぜつ技巧ぎこうなバランスげいで、結構けっこうな注目を集めていた。


 そんな好奇こうきの視線に対して、


「どーも、どーも♪」


 スティンクルは愛嬌あいきょうをふりまきながら、さらなる高みにいどんで成功。舞踏会ぶとうかいの参加者たちから大きな拍手はくしゅをもらっている。


 彼女スティンクルげいに対して、マナーにうるさい者たちは最初、まゆをひそめていた。


 が、すぐに他の者たちと一緒いっしょになって、拍手はくしゅを始める。


 あの女の子は一見いっけん、「舞踏会ぶとうかい招待客しょうたいきゃく」のようだが、その正体はおそらく「おしろやとった道化師どうけし」だろう。


 そして、「このパフォーマンスは、王子さまが用意された『余興よきょう』にちがいない」と考えたのである。


 ならば、けわしい顔をしていては、王子さまに失礼。まわりに合わせて、スマイルだ。


 その一方で、スティンクルの相方パートナーのフォーテシアは、一人で壁際かべぎわにいた。『お目々のラジオ体操たいそう』をしている。


「フォーテシアちゃん、おたせー♪」


 彼女を見つけて、手をふりながら近寄るキナコ。クーもそれについていく。


 すると、フォーテシアが目を左右さゆうに動かすのをやめた。少しホッとした表情を見せてくる。


かった。うまくはいめたんだ」


「いやぁ~、聞くもなみだかたるもなみだの、さんざんな苦労があってだね~。なーんて冗談じょうだん。クーが全部やってくれたから、余裕よゆうだったよ。私はずっとらくをしてた」


「スティンクルも言ってた。クーがいるから心配しんぱいないって」


 二人キナコとフォーテシアの言葉にれるクー。


「で、どんな感じ?」


 キナコが視線を向けた先は、スティンクルがいるのとは別の場所だった。そっちにも人だかりができている。


 十人前後の女性たち、その真ん中にわかい男性がいた。金色の髪をしていて、かなりの「美形」だ。仮面かめんをつけていても、それがわかるほどの「美形」。


 あの男性はたぶん、「この国の王子さま」だろう。すぐそばには、白い軍服を着た警護けいごが二人ついている。


 キナコの耳元でフォーテシアがささやいてきた。


「一つ気になることがあって」


 彼女フォーテシアはキナコたちより先におしろの中に入ったので、色々と情報じょうほう収集しゅうしゅうをしていたという。


 その結果、次のようなうわさり返し聞いた。


 ――今夜の舞踏会ぶとうかいで、王子さまは結婚けっこん相手あいてを決めるらしい。


 そういうわけで今、「王子さま」はあんな風に、女性たちにかこまれているのだが・・・・・・。


 フォーテシアには何か違和感いわかんがあるという。


 はっきりと言葉にできるほどではないけれど、


「どう思う?」


 このいかけに対して、キナコは考えた。


 フォーテシアの家は狩猟しゅりょう生業なりわいとしている。そんな環境かんきょうそだった彼女も、一流の狩人ハンターだ。


 そのフォーテシアが、「違和感いわかんがある」と言っているのだ。


(本当に何かあるのかも)


 彼女の直感ちょっかんを信じてみる。キナコは金髪の男性を注意深く観察かんさつした。


 だてに、「おだんご屋さん」の看板かんばんむすめをやっていない。人間にんげん観察かんさつは客商売の基本だ。そっち方面の能力には、そこそこ自信がある。


 もしも、あの「王子さま」に「おかしな部分ところ」があるのなら・・・・・・。


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