Σ(゜д゜lll) 私と同じ
クーとキナコがお城への侵入に成功している頃、ホテルのスイートルームでシャワーを済ませたシンデレラは、舞踏会へ行く準備をしていた。
なお、リチャード王子は現在シャワー中である。のぞいてはいけない。
シンデレラがソファーでファッションカタログをめくっていると、テテルが聞いてきた。
「シンデレラ、靴のサイズは?」
「え?」
こんなやり取り、前にもあったような・・・・・・。
何も答えずに、ただ微笑みだけを浮かべていると、テテルが再び聞いてくる。
「いいから、靴のサイズは?」
「えーと、サクランボみたいな感じかな♪」
「・・・・・・」
テテルが無言で爪楊枝を構えたので、シンデレラは慌てて、自分の靴のサイズを小声で教えた。
すると、テテルの表情が和らぐ。
「私と同じか。ちょうど良かった」
そう言うとテテルは、シンデレラがはいているスリッパに魔法をかける。
「わおっ♪」
シンデレラは驚いた。スリッパが真っ黒なスニーカーに変わったのだ。
これでお城に行け、というのではなく、
「どんな感じ? ぶかぶか? きつきつ?」
「えーとねー」
シンデレラはスイートルームの中を少し歩いてみる。
そのあと、まるで「つま先」の上に見えないサッカーボールがあるかのようにしてから、リフティングの動作をしてみた。
「そうだね、特に問題ないみたい」
シンデレラが感想を言うと、テテルはホッとしたようだった。
さっき彼女とリプリスが話しているのを聞いた。なんでも、「魔法を使って、服や靴を変化させる」のは、かなり大変らしい。
熟練の魔女ならともかく、テテルもリプリスも見習い魔女だ。二人とも『見習い』と書かれた丸いバッジをつけている。
テテルたちの学校では基本的に、「自分のサイズ」で練習するそうだ。で、そのサイズだけが得意になりやすい。服の方は完全にぴったりじゃなくても、誤魔化す手段が色々とあるが、靴の方はそうもいかないのだとか。
なので、得意不得意の影響はかなり大きい。シンデレラとテテルの「靴のサイズが同じ」なのは、非常に幸運だと言える。
一方で、リプリスとマルリアさんは、靴のサイズが違っていた。
そのため、かなり苦戦しているリプリス。そんな彼女を気遣って、さっきからマルリアさんは言葉少なだ。でも、どう見ても、ぶかぶか。もしくは、きつきつ。
リプリスたちの様子を見ていて、シンデレラは思った。
(リプリスは偽造の魔法が得意なようだから、こういうのも得意そうなのに・・・・・・)
見かねたテテルが代わりにやってみるものの、それでもうまくいかなかった。靴のサイズを調整するのは、やはり難しいらしい。
「この魔法は、クーが得意なんだけど」
ため息をつくテテル。
しかし、残念ながら、この場にクーはいない。お城で彼女と合流したあと、サイズを調整してもらうしかないだろう。マルリアさんにはそれまで、自前の革靴をはいてもらうことになった。
さて、靴のサイズのことはひとまず置いといて、ここからが本番だ。
舞踏会へ行くにあたって、どんなドレス、どんな靴にするのか。
テテルたちの学校で支給されている「教材のファッションカタログ」、それを引き続きシンデレラはめくっていく。このカタログ、ドレスや靴がたくさん載っているのだ。
「魔女の学校って、こんな教材もあるんだね」
「このドレスのカタログは、私たちの代かららしい。二か月前にいきなり、これが追加で配られた」
なぜか一人に二冊ずつ。
そういうわけで今、シンデレラたち四人の手には、それぞれ一冊ずつがあった。
なお、追加で配られた方ではなく、毎年使っている方のカタログには、「警官の服装」や「ゴリラの着ぐるみ」が載っているという。さらには、「○○○で見かける服装」や「△△△にいそうな服装」なんかも。
(随分と楽しそうな学校だ)
シンデレラは感心すると同時に、
(やはり買いたいな、その学校♪)
そんな野望を内に秘めながら、何食わぬ顔でカタログをめくっていく。
(ど・れ・に・し・よ・う・か・な♪)




