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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第五章

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Σ(゜д゜lll)  今日って舞踏会のはずだよね?

 シンデレラたちがホテルでのんびりシャワーをびているころ、クーはキナコと一緒いっしょにおしろ周囲しゅういを歩きまわっていた。


 そのかいあって、こっそりしのめそうな地点ポイントを、いくつか見つけることができた。


 でも、それは自分一人で侵入しんにゅうする場合の話だ。今回はキナコも一緒いっしょ


 彼女の負担ふたんが少ない侵入しんにゅう方法をえらぶことにする。


 そういうわけで、少し前からクーはキナコと二人で、道ばたのしげみにかくれていた。


 大きな馬車が通りかかるのをつ。その屋根やねに飛び乗って、おしろの中に入るのだ。


 ところが、こまったことに、馬車が全然ぜんぜん来ない。


 キナコが少し不思議ふしぎそうに、


「今日って舞踏会ぶとうかいだよね?」


「そのはずなんだけど・・・・・・」


 うらみちの方から馬車が来ないだけならわかる。もともとの交通量が少ない。しかし、もう片方の道からも馬車が来ないのだ。さすがに普通じゃない。


(あっちの道で何かが起きている?)


 クーは考えむ。


 光のはしらが見えたのも、あの方角だった。あれは、ウルフェニックス先生の『こう収束しゅうそく』だ。


 あっちの道で何が起きているのかはわからないけれど、もなく三〇分になる。エクスアイズ先生のかけた魔法がける時間だ。


 とはいえ、あせりは禁物きんもつだろう。先生の魔法がけたらけたで、今度は「クー自身の魔法で、(服装ふくそうを)何とかする」という手もある。


 エクスアイズ先生も、そのことには気づいているはず。だから、どう考えてもこの時間制限、いやがらせ目的にちがいない。


(とにかくあせっちゃダメだ)


 クーは心の中で、自分に言い聞かせる。


 でないと、キナコも不安になる。


大丈夫だいじょうぶ、たぶん大丈夫だいじょうぶ


 そんなひとごとをほとんど意識いしきにつぶやきながら、クーは馬車が来るのをった。のこり時間はあとわずか。


 そこで気づく。何かが近づいてきている。


 これは馬車じゃない。でも・・・・・・。


 クーは目をかがやかせた。これはトラックだ。トラックがこっちに向かってきている!


 馬車よりも当たりかもしれない。車体は大きいし、おそらく荷物にもつ運搬うんぱん用。だから、おしろの正門ではなく、うらもんの方にまわるはず。


 クーはキナコを「おひめさまっこ」した。こうすることは先に説明している。


 トラックが目の前を通り過ぎるタイミング。その一瞬にしげみから飛び出した。


 周囲しゅういは暗い上に、クーは隠密おんみつ行動にけている。


 次の瞬間、二人はトラックの屋根やねに着地していた。一瞬だけ魔法を使って、衝撃しょうげきを最小にする。


 運転手には気づかれなかったようだ。トラックは走り続けている。


 と思ったら、すぐに速度を落とし始めた。


 クーは少し不安になったものの、おしろの近くなのでトラックは徐行じょこう運転に切り替えたらしい。運転手の能天気のうてんき鼻歌はなうたが聞こえてくる。


 トラックが向かっているのは、やはりうらもんの方だ。


 この間に、クーは『異空間収納べつばら』の魔法で「大きなぬの」を取り出した。キナコと一緒いっしょにトラックの屋根やねそべると、その上からぬのをかぶる。


 ぬのの色は、トラックの屋根やねと同じものだ。これでおしろの高い場所から見られても、少しは誤魔化ごまかせるはず。


「このままおしろ侵入しんにゅうするよ」


 クーが小声でつたえると、わくわくした顔でうなずくキナコ。


 こういうことにはれていないだろうに、


きもわっているなぁ)


 本当にたのもしい相方パートナーだと、クーは感心する。


 少しして、トラックが停止した。おしろうらもんに着いたのだ。


 見張みはりの兵士たちがいる。ここさえ無事ぶじ通過つうかしてしまえば・・・・・・。


 クーは聞き耳を立てる。


 運転手が兵士たちと話し始めた。どうやら、トラックのは「大量のカボチャ」らしい。


(あるところには、たくさんあるもんだなぁ)


 今日の夕方ゆうがたにスーパーの野菜コーナーで、貧相ひんそうなカボチャ一個を、テテルとあらそったことを思い出す。


 あの時よりも、カボチャの値段はさらに上がっているはず。


うらみちおそってきた山賊さんぞくたち、ぼくたちの馬車じゃなくて、こういうトラックをねらった方がもうかるんじゃ・・・・・・)


 でも、すぐに気づく。自分たちが乗っていたのは、馬車は馬車でも「カボチャの馬車」だ。


(それでおそってきたのか)


 一人で納得なっとくするクー。乗っていたのが、たとえば「スイカの馬車」だったら、あの山賊さんぞくたちはおそってこなかったかも。


 おしろうらもんでは、なおも運転手が兵士たちと話している。


 特に問題なさそうなので、クーが少しだけ気をゆるめた時だった。


「ククククク、バカどもめ!」


 トラックの運転手が豹変ひょうへんした。


 一瞬で声色こわいろを変えたかと思うと、


「カボチャのめはくないよなぁ。おかげでカボチャの値上げが止まらねーよ。だから、このスーパーテロリストさまが、暴力ぼうりょく陳情ちんじょうに来てやったぜ」


 まさかの内容に、クーはあわてた。しまった。変なトラックに乗ってしまったみたいだ。


「用意はいいか? 覚悟かくごはいいか? ならば始める! 今から天誅てんちゅう!」


 運転手がラップ調ちょうげている。


 クーはいそいで考えた。とりあえず、キナコをれてげた方がいいかも。


 しかし、げる姿を兵士たちに見つかってはまずい。


(そうなったら、ぼくたちまでテロリストだと思われる!)


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