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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第五章

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Σ(゜д゜lll)  競争相手を減らす

 ウルフェニックスは小さくため息をつく。


(やれやれ。こういう可能性を考えなくもなかったが)


 今夜の舞踏会ぶとうかい、この国の王子が結婚けっこん相手あいてを決めるらしい、そんなうわさが広まっている。


 なので、いつもの舞踏会ぶとうかいより「気合いを入れてくる者」がいても、おかしくない。そう、こんな風に。おしろまでの道のり、その途中とちゅうおそって、競争相手をらすのだ。


 王子との結婚けっこんがかかっている以上、このようなことを「思いつく者」は、それなりにいるだろうが、


(まさか本当に『実行する者』がいるとはな)


 しかも、冗談じょうだんにならないレベルで。


 この周囲しゅういは、なかなかの惨状さんじょうになっている。


 ウルフェニックスの後方こうほうでは、先に進めなくてこまっている馬車で、渋滞じゅうたいしていた。その数は二〇をくだらない。


 また、おそわれた馬車に乗っていたご令嬢れいじょうたちが、道端みちばたくずれている。


(さっさとかたづけるか)


 ウルフェニックスは三人組の一人にねらいをさだめる。金色のかぶとをかぶっているやつだ。


 気配けはいでわかる。こいつがずばけて強い。


 他の二人はせいぜい、おしろの兵士たちとどう程度ていどの力量。


 あの金色きんいろかぶとさえ排除どうにかできれば、この場の混乱こんらん収拾しゅうしゅうすることができるだろう。


 すると、金色きんいろかぶとが仲間の二人に対して、ゆび文字もじ合図あいずをした。


(『手を出すな』か)


 他の二人の力量をよくわきまえている。


 そうしておいて、金色きんいろかぶとはジャージのポケットから、小さなびんを取り出した。中に入っているのは、むらさきいろ液体えきたいだ。


 あの色からして、


どくか)


 ウルフェニックスは一瞬で見抜みぬく。


 何のどくかまでは、わからない。だが、常人じょうじんにとって、かなりの猛毒もうどくなのはちがいなさそうだ。そんな色をしている。


(さて、あのどくをどうする気だ)


 どくあつかいがむずかしい。細心さいしんの注意が必要になる。だから、普通はかげでコソコソ使う。あんな風に、わざわざ見せつけたりはしない。


 ウルフェニックスがびんを警戒していると、金色きんいろかぶとが次の動作をする。びんにぎる手にちからめた。


 びんの表面に、こまかいヒビがいくつも走る。絶妙ぜつみょうちから加減かげんだったようで、中身は少しもれていない。


 だが、あの状態でほうり投げてきたら、こちらがかるくキャッチしただけでも、びんれてしまうだろう。地面に落としてもまずい。あのどくが急速に気化きかするものなら、この周囲しゅうい被害ひがい拡大かくだいする。


 ウルフェニックスは心の中でため息をつく。相手の意図いとに気づいたのだ。


 次の瞬間、ヒビの入ったびんを投げてくる金色きんいろかぶと


 直線ではなく大きな曲線だ。ウルフェニックスに向かってではない。馬車が渋滞じゅうたいしている方に向かってだ。大勢おおぜいがいる方に。


(やはり、そうするよな)


 性格のわるい戦い方をしてくる。邪道じゃどうとうとぶ連中にとっては、王道の戦法。


(しかし、俺が相手だ。運がわるかったな)


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