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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第四章

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Σ(゜д゜lll)  いい物拾った

(ここからさらに、攻勢こうせいを強める!)


 そう意気いきむシンデレラ。


 ところが、大爆発だいばくはつの直後に、予想だにしないものを見てしまう。


 なんと、ヴァンプラッシュ先生が地面にたおれているのだ。


(え? 今の爆発ばくはつで?)


 ひょっとして、防御ぼうぎょりょく皆無かいむなのか? あの黒いよろいって、実は見かけだおし?


 といっても、普通の人ならああなっても全然ぜんぜんおかしくない、そんな大爆発だいばくはつではあったけど・・・・・・。


(でも、テテルたちの先生なんだよね? これで最強?)


 シンデレラがうたがっていると、


「いい攻撃こうげきだった。今の感じをわすれないように」


 大の字にたおれた状態で、ヴァンプラッシュ先生が言う。その口調くちょうはどこかやさしい。


 それでシンデレラも理解する。


(そうか。わざとだ)


 そもそもヴァンプラッシュ先生は、テテルとリプリスをたおそうとはしていなかった。教師として、二人の戦い方を採点さいてんしていただけなのかも。


 で、テテルたちは合格クリアしたらしい。戦闘せんとう終了しゅうりょうだ。これで先に進める。シンデレラは心の中でガッツポーズをした。


ってろおしろ、行っちゃうぞ舞踏会ぶとうかい♪)


 テテルとリプリスがヴァンプラッシュ先生にっている。二人の様子ようすからして、あの先生、かなりしたわれているみたいだ。


 一方で、マルリアさんは自動販売機にりかかっている。口をあけたまま、ぼーっとちゅうを見ていた。体力と気力を使いたしたらしい。


 そのあとでふと、シンデレラは自分から数メートルはなれた場所に、変な物が落ちているのを見つけた。


 棒状ぼうじょう物体ぶったいだ。虹色にじいろのテープがぐるぐるにかれている。


 見た目の印象いんしょうからして、


(打ち上げ花火かな?)


 コンビニとかで売っていそうなやつだ。


 しかし、さっきまでこんな物あったかな? かなり派手はでだから、一瞬でも視界に入れば気づきそうなものだけど・・・・・・。


 シンデレラはそれに小走りで近づくと、まずは周囲しゅういをきょろきょろした。


 だれもこちらを見ていない。テテルも、リプリスも、ヴァンプラッシュ先生も、マルリアさんもだ。で、山賊さんぞくたちは「すやすや」状態。


 このすきに、シンデレラはばやく花火をひろった。


(「ねこばば」しちゃおう。何かのやくに立つかもしれないし)


 ヴァンプラッシュ先生との戦いではうまくいったけれど、この先どうなるかはわからないのだ。テテルたちの先生は他にもいるみたいだし、トマトジュースとつま楊枝ようじの「爆発ばくはつコンボ」が、次も通用するとはかぎらない。


 たとえば、真っ先にテテルをねらわれたら、あのコンボは確実に破綻はたんする。彼女テテルつま楊枝ようじがなければ、トマトジュースはトマトジュースのままだ。


 ヴァンプラッシュ先生はそれをしてこなかったけれど、他の先生も同じようにしてくれるとはかぎらない。テテルきの攻撃こうげきパターンも、きっと必要になるはず。


(だったら、秘策ひさくは一つでも多い方がいい)


 これをひろったことは、テテルたちにはだまっておこう。秘密ひみつ兵器へいきだ。「てきあざむくには、まずは味方から」と言うし。


(まあ、でも、たかだか花火だし、勝利の決定打にはならないだろうな。私、普通の民間人みんかんじんだし、あまり期待きたいされてもこまる。最後の最後にかっこよく使って大逆転だいぎゃくてん、なんてことはたぶんない)


 シンデレラがふたたび、テテルたちの方に目をやると、


「それでは二人とも、またあとで会おう。おしろっている」


 ヴァンプラッシュ先生の体がきりじょうに変わっていくところだった。


 先生の姿が消えると同時に、テテルとリプリスの視線がおしろの方へと移動する。ヴァンプラッシュ先生は去ったみたいだ。


 その直後だ。


 このタイミングで、山賊さんぞくの一人が目をました。


 リーダーらしき男だ。水色の服の上に銀のブレストアーマー。そして、白いマントをつけている。


 男は周囲しゅういをきょろきょろしたあとで、テテルとリプリスを見た。


 すぐに状況じょうきょうを理解したらしい。仲間たちは全滅ぜんめつして、のこっているのは自分一人。


 テテルが無言でつま楊枝ようじかまえたので、男はあせり出した。


ってくれ。少しでいいから、俺の話を聞いてくれ。君たちを襲撃しゅうげきしようとしたことはあやまる。本当にすまん。これにはふかい事情があるんだ」


 すぐ近くに落ちていた白いぬのって、降参こうさんの意思表示をしてくる。


 テテルがつま楊枝ようじを下げると、男はゆっくりと立ち上がってせきばらいをした。


「正直に言おう。俺は王子だ」


 そう言って片方の手でわざとらしく、自分の白いマントをはためかせる。


「あーっ!」


 シンデレラは思わず声が出てしまった。


 この男を知っている。


「あの時のニセ王子っ!」


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