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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第四章

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Σ(゜д゜lll)  健康のために

「あと、『きなものを飲んで、っていてください』って、リプリスが」


 シンデレラが彼女リプリスの言葉をつたえると、


「それは助かるかも」


 マルリアさんが自動販売機の商品を、一つずつ確認していく。


残念ざんねん。ビールはないんだ」


 彼女は少し考えてから、


健康けんこうのために、これにしようかな」


 トマトジュースをえらんだ。


(私も何か飲もうかな)


 シンデレラがミネラルウォーターのボタンをそうとした、ちょうどその時だ。


 いきなりするどい音がして、ボタンの裏側から何かがけてくる!


 突然とつぜんのことに、シンデレラは心臓しんぞうが止まりそうだった。


 けてきたのは、テテルのつま楊枝ようじだ。その先端せんたん部分。


 つま楊枝ようじ先端せんたん凝視ぎょうししたまま、シンデレラはつい想像してしまう。


 もしも、このボタンをすタイミングが、ほんの少し早かったら・・・・・・。


 もしも、このつま楊枝ようじに、あと少し威力いりょくがあったなら・・・・・・。


 わざとじゃないのはわかるけれど、テテルにはもう少し気をつけてしい。さっきもリプリスがけつけていなければ、大変なことになっていた。


 とはいえ、戦っている相手が強すぎるのだから、テテルにそこまで求めるのはこくな話かも。


 仕方がない。こっちで気をつけよう。


 つま楊枝ようじさっている場所から、シンデレラは少しだけ横に移動する。ミネラルウォーターはやめた。他の飲み物にしよう。


 そして、ちょうど目の前にあったのが――


(ん・・・・・・)


 それは小さなひらめきだった。もしも、「あれ」が可能なら・・・・・・。


 シンデレラはそのひらめきを、すぐさま行動にうつす。


 マルリアさんと同じ飲み物、トマトジュースをえらぶと、それを持って、自動販売機の横に出た。


「テテルー!」


 大声でさけんでから、トマトジュースのかんを投げる。


 ヴァンプラッシュ先生目がけて。


(テテル、気づいて!)


 シンデレラの家で、テテルがやっていた。彼女が投げたつま楊枝ようじさると、「トマト」が爆発ばくはつしていた。


 もしも、「トマトジュースのかん」でも爆発ばくはつさせることができるなら・・・・・・。


 それは、ちっちゃな期待きたいだった。そんなこと、実際じっさいには無理かもしれない。


(でも、それが可能できるなら、私も一緒いっしょに戦える!)


 テテルの顔がかすかに笑った気がした。その目はイタズラにえている。


 直後に彼女テテルつま楊枝ようじを投げた。


 それがいきおいよく飛んでいく。正確無比なコントロールで、トマトジュースのかんさった。


 シンデレラの視線の先で、かん爆発ばくはつする。


 当たりだ。トマトジュースでも同じことが可能できるらしい。


(だったら・・・・・・)


 シンデレラは自動販売機の前にもどると、トマトジュースのボタンを連打れんだしまくる。


「マルリアさんもつだって!」


 数秒後、二人でかんを持って、投擲とうてきを開始した。


 シンデレラの投げたかんに、テテルのつま楊枝ようじふたたさる。


 またもや爆発ばくはつした。しかも、ヴァンプラッシュ先生の至近しきん距離きょりだ。


 先生の体勢がわずかにくずれる。


 そこにすかさず、白い木刀ぼくとうき出すリプリス。


 が、ぎりぎりで回避かいひされてしまう。


 とはいえ、戦いの流れがはっきりと変わった。


 今の状況じょうきょう、ヴァンプラッシュ先生からすれば、シンデレラたちが投げるトマトジュースのかん警戒けいかいしなければならない。


 しかし、テテルのつま楊枝ようじが、つねかんねらうとはかぎらないのだ。先生に直接投げてくることも考えられる。そちらも警戒けいかいしなければならない。


(ここで一気にたたみかける!)


 シンデレラはトマトジュースのかん補充ほじゅうすると、ヴァンプラッシュ先生目がけて次々と投げつけた。放物線ほうぶつせん軌道きどうだ。


 テテルのつま楊枝ようじが、それらのかん順番じゅんばん爆発ばくはつさせていく。


 この時、シンデレラはこう考えていた。


(この連係れんけい攻撃こうげき、たぶん長くは通じない)


 ヴァンプラッシュ先生はすぐにれて、適切てきせつな対応をしてくるだろう。それほどの実力差があると、ここまでの戦いでわかっていた。


(だから、そうなる前に勝負を決める!)


 さあ、マルリアさんも。そう言いかけて、シンデレラは気づく。


 すでに彼女もかんを投げていた。


 が、まるでとどいていない。半分くらいの距離きょりで、どのかんも落下している。投げる力がりていないのだ。


 マルリアさんはきべその一歩手前だった。それでも彼女は一生いっしょう懸命けんめいに、トマトジュースのかんを投げている。


 でも、今回のかんとどかな・・・・・・


「ナイスパスです!」


 声を発したのはリプリスだった。彼女がかんの予想進路上に、一直線に走りんでくる。


 そして、タイミングを合わせて体をばや回転かいてんさせた。


 純白じゅんぱくの防具におおわれた脚部きゃくぶが、マルリアさんのかんをとらえる。サッカーのボレーシュートのような動きで、かんを最前線へと送りんだ。


 これまでシンデレラが投げたのとはちがって、今回は直線の軌道きどうな上に、速さもある。


 この場面ではずすテテルではない。つま楊枝ようじを二本、同じ標的ひょうてきに向かって投げつけた。


 次の瞬間、二本のつま楊枝ようじが両方とも命中する。


 ヴァンプラッシュ先生の真正面で、トマトジュースのかん大爆発だいばくはつを起こした。


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