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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第四章

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Σ(゜д゜lll)  がんばれー、テテルー

 戦闘せんとうが再開された。


 テテルとリプリスがそれぞれ、ヴァンプラッシュ先生の左右さゆうから攻撃こうげき仕掛しかけている。黒い木刀ぼくとうと白い木刀ぼくとう。二人になったことで、攻撃こうげきの回数が上がっている。


 だが、ヴァンプラッシュ先生には余裕よゆう回避かいひされていた。


 シンデレラが思うに、


(やはり強い)


 テテルたちが勝つ、そんな気配けはいがまったく感じられなかった。


 というのも、リプリスがそこまで強くないのだ。ヴァンプラッシュ先生とテテルの実力差もかなりのものだが、テテルとリプリスの差もはっきりしている。


 テテルが二回にかい攻撃こうげきする間に、リプリスは一回いっかいしか攻撃こうげきできていない。速さがちがう。すきも多い。


 とはいえ、リプリスが攻撃こうげきすることで、テテルの負担ふたんを少しはらせているのも、たしかだ。


 即座そくざに次の攻撃こうげき、というのをひたすらり返していた今までとはちがって、わずかにだが時間的な余裕よゆうまれている。攻撃こうげきに変化をつけやすくなっていた。


 しかし、まだまだ単調たんちょうだ。あんな攻撃こうげきでは、ヴァンプラッシュ先生に勝つのはむずかしいだろう。もっと攻撃こうげき手数てかずを多くしないと・・・・・・。


 シンデレラはがゆかった。


 でも、自分は普通の民間人みんかんじん


 ここにキナコがいないことが、本当にやまれる。彼女は「古流こりゅう柔術じゅうじゅつ」の使い手だ。


 フォーテシアでもかった。彼女ならブーメランで援護えんごできたのに・・・・・・。


 あの二人とちがって、シンデレラにできるのは、せいぜい心の中で応援おうえんすることくらいだ。がんばれー、テテルー。ついでにー、リプリスー。


 そうやって謙虚けんきょ応援おうえんしていると突然とつぜん、自分の後方こうほうに人の気配けはいを感じた。


 だれかがこちらに走ってくる!


 目をました山賊さんぞくの一人が、うしろにまわんだのだろうか? それとも、カボチャばたけにいた兵士の一人が、ここまで追ってきたとか?


 あわててシンデレラがふり返ると、そこにいたのはツインテールのOLさんだ。リプリスの相方パートナー、マルリアさん。


 どうやら彼女も、キナコやフォーテシアとはちががわの人間のようだ。いくらスーツ姿とはいえ、走る姿勢フォームがさまになっていない。普通に足がおそかった。


(あれなら、私でも勝てそう)


 馬車の中で少し話しただけだったが、シンデレラは親近感しんきんかんおぼえる。


 しかし、それはつまり、戦力としては期待きたいできないということ。


(いや、足はおそいけれど、ひょっとしたら・・・・・・)


 ああ見えて強い、そんな可能性に少しだけ期待きたいしてみる。でも、キナコに投げ飛ばされていたしなぁ・・・・・・。


「やっと着いたぁ」


 足を止めるなり、マルリアさんは前かがみになった。紺色こんいろのビジネススーツが、よれよれになっている。


 彼女が息を切らしている様子ようすを見ていて、シンデレラはさっした。


(この人、体力もないな)


 だけど強い、とは到底とうてい思えない。テテルたちを応援おうえんする人間が、この場にえただけである。遠のくおしろ、さらば舞踏会ぶとうかい


「あのぉ、すみませんが」


 マルリアさんが上目うわめづかいで話しかけてくる。


「今どんな状況じょうきょうになっているんでしょうか?」


 そう思うのも無理もない。シンデレラ自身も、わからないことがいっぱいだ。


 とりあえず、わかる範囲はんいで説明してみる。


「これも課題の一環いっかんらしくて、テテルとリプリスが今、魔女の学校の先生と戦っています。あの先生に勝ったら、たぶん先に進めるみたいです」


「じゃあ、もしもここでリプリスたちが負けちゃったら・・・・・・」


 みじか沈黙ちんもくするマルリアさん。


 そのあと、複雑ふくざつな表情になって聞いてくる。


「おしろに行くことができずに、居酒屋いざかや反省会はんせいかい?」


「・・・・・・そうなるかもしれません。その時はおごってください」


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