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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第四章

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Σ(゜д゜lll)  テテルの弱点

 テテルが戦っている。


 その様子ようすを、シンデレラは不安げに見守っていた。


 少し見ただけでもわかる。あのヴァンプラッシュ先生、ものすごく強い。


 テテルはかなりの速さで木刀ぼくとうり出している。なのに、それを完全に見切みきっていた。最小限の動きで回避かいひしている。今のところ、ヴァンプラッシュ先生はほとんど反撃はんげきしていない。


 なおもテテルがめ続ける。体勢を変えながら、上段、中段、下段、と黒い木刀ぼくとうを高速でり出していた。


 と同時に、いつ先生からの反撃はんげきがきても対処たいしょできるように、きちんと警戒けいかいしている。


 テテルの攻撃こうげきけっしてざつではない。彼女も普通に強い。


 だが、相手との実力差は明らかだ。攻撃こうげきがまったく当たらない。これが最強、ヴァンプラッシュ先生。


 ハイレベルな二人の戦いに、シンデレラは見入みいっていた。至近しきん距離きょりでのはげしい攻防こうぼう。あの二人がものすごい速さで、ダンスをしているようにも見える。


 テテルはまだ得意とくいつま楊枝ようじを使っていない。あれに期待きたいしたいけれど、至近しきん距離きょりからの木刀ぼくとうが、ああも回避かいひされているようでは・・・・・・。


(まずいな)


 何とか突破とっぱこうを見つけようと、シンデレラは戦いを注意深く観察かんさつする。


 ヴァンプラッシュ先生に何か弱点じゃくてんはないか。ちょっとしたくせのようなものでもいい。


 せっかく、この場にいるのだ。相方テテルの力になりたい。


 しかし、それよりも先に見つけてしまう。


 テテルの弱点じゃくてんだ。


 またもや彼女が攻撃こうげきり出した。


 このあとにどう動くのか、シンデレラには予想できる。


 それもそのはず、テテルの攻撃こうげきは色々と変化をつけているようで、実際じっさいにはそうじゃない。七種類のパターンを組み合わせているだけだ。


 だから、シンデレラでもほぼ正確に予想できる。次のわざはたぶん、こう。あの体勢からつなげることができるわざは、七種類の中で一つか二つだ。彼女は非常に窮屈きゅうくつな戦い方をしている。


 このことにテテルは気づいているのだろうか。もっと変化をつけないと、攻撃こうげきが当たらない。


 でも、彼女の考えも少しはわかる。あの動き、一朝いっちょう一夕いっせきで身につけたとは思えなかった。たぶん、テテルが普段から練習れんしゅうしている攻撃こうげき動作どうさだ。その中でも特に自信があるのが、あの七種類の動きなのだろう。


 相手が強すぎるからこそ、攻撃こうげきに求められるのは、「速さ」や「すきの少なさ」。未熟みじゅく攻撃こうげきでは、いた反撃はんげきを食らうことになる。


 シンデレラはなおもテテルの動きを観察かんさつした。


 たしかに速い。すきも少ない。


 しかし、攻撃こうげきが当たらなければ意味がない。


(ひょっとして、テテルって・・・・・・)


 シンデレラは気づく。


(応用力になんがあるんじゃ・・・・・・)


 決められたことをきっちりやるのは得意とくいでも、そうじゃない場面では融通ゆうずうかないタイプ。戦いの中での機転きてんを大きくいている。


 しかし、そのことを今すぐテテルにつたえても、戦いの結果けっか好転こうてんするとは思えない。


 たぶん、彼女テテル自身も気づいている。でも、他の戦い方に変えることができないんじゃ・・・・・・。


 そこで急に、テテルが攻撃こうげきのパターンを変えた。


 これまでにない角度かくどからの、片手による木刀ぼくとうき。


 と同時に、もう片方の手で数本のつま楊枝ようじを投げている。


 が、無茶むちゃな体勢だったために、テテルが転倒てんとうした。地面に背中をちつけている。


 しかも、木刀ぼくとうはかわされてしまった。つま楊枝ようじもすべて当たらない。奇襲きしゅう失敗だ。


 さらにわるいことに、そのつま楊枝ようじがこちらに向かって飛んでくる!


 とっさのことに、シンデレラは動けなかった。げなきゃいけないのに、そんな思考に体がついてこない。


 せまりくるつま楊枝ようじ


 やばい、直撃ちょくげきコースだ!


 頭にかんだのは、トマトが「爆発ばくはつ」する光景だった。シンデレラの家で、テテルがやっていたやつだ。彼女が投げたつま楊枝ようじさると、トマトが爆発ばくはつしていた。


(これって、絶体絶命ぜったいぜつめい状況じょうきょう?)


 突然とつぜん後方こうほうからの一陣いちじんの風が、シンデレラの真横をけた。


 そして、自分のすぐ前から聞こえてくる。


「『緊急きんきゅう召喚しょうかん』!」


 そこには、黒いドレスを着た女の子がいた。頭には「ふちのついたとんがり帽子ぼうし」、両腕りょううで両脚りょうあしには「純白じゅんぱくの防具」をつけている。


 リプリスだ!


 彼女がしゃがみんで、地面に手をついている。その地面には、魔法陣まほうじんが出現していた。


 魔法陣まほうじんの中から瞬時に、何かが飛び出してくる。「自動販売機」だ。


 それが金属のかべとして、その背中でつま楊枝ようじをすべて受け止めた!


爆発ばくはつする!)


 シンデレラは思わず、自動販売機から顔をそむけた。


 だが、何も起こらない。どうやら、あのつま楊枝ようじさっても、自動販売機は爆発ばくはつしないようだ。


 シンデレラがホッとしていると、リプリスが立ち上がる。


 彼女は自動販売機に紙幣しへいを投入しながら、


きなものを飲んで、っていてください」


 口調くちょうおだやかだが、全身から発する雰囲気ふんいきは、すでに臨戦りんせん態勢たいせいだ。


 リプリスがすたすたと、自動販売機の前に移動する。


 シンデレラは自動販売機の横から、少しだけ顔をのぞかせた。戦いのえになるのがこわいので、体の大部分は安全地帯の外に出さない。


 彼女リプリスがヴァンプラッシュ先生に会釈えしゃくをする。


「先生、ここから先は私も参加させてもらいます」


 黒いスカートの下から、白い木刀ぼくとうを取り出した。


「問題ない」


 そう返してくるヴァンプラッシュ先生。


 これで二対一だ。自動販売機のかげから顔を出したまま、シンデレラは考える。


(リプリスの加勢かせいで、戦いの流れが変わってくれるといいけど・・・・・・)


 さらに、こんなことも考える。


(この戦いが終わったら・・・・・・)


 自動販売機を召喚しょうかんする魔法か。これが使えたら便利かも。ちょっとがんばったら三日くらいで習得できる、そんな感じのやつなら、ぜひとも教えてもらいたい。


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