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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第四章

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Σ(゜д゜lll)  まさか、五人目の魔女?

「これ、テテルがやってるの?」


 そうだよ的な答えを期待きたいしながら、シンデレラは聞いてみる。


 攻撃こうげきしているようなりを、テテルはしていない。なのに、山賊さんぞくたちは次々と落馬らくばしている。魔法でもなければ不可能だ。


 これがテテルの仕業しわざなら、彼女がつま楊枝ようじかまえようとしなかったのにも納得なっとくがいく。その前に勝負はついていたのだ。


 しかし、テテルからの答えは、


「私じゃない。別の者の仕業しわざ


 シンデレラは気づく。テテルの顔は正面を向いていない。少しだけ横にずれている。


 その延長えんちょうせんじょうにいるのは、山賊さんぞくたちのリーダーではなかった。すぐ近くにいる別のやつだ。


 こいつも山賊さんぞくらしくない格好かっこうをしている。大きな白いぬのをかぶっているので、正体は不明だ。


 でも、シンデレラはいていた。あんな格好かっこうなのに、たくみに馬を乗りこなしている。ぬので視界が制限せいげんされているのに、山賊さんぞくたちのリーダーよりも断然だんぜんうまい。テテルが最優先で警戒けいかいするのもうなずける。


 この直後、山賊さんぞくたちのリーダーが落馬らくばした。


 ここまでに落馬らくばした山賊さんぞくたち、彼らに対して、シンデレラはさっと目を走らせる。


 不思議ふしぎなことに、どうやら全員、ねむっているようだ。


 ひょっとして、そういう魔法なのか? 複数の人間をねむらせる魔法?


(その使い手は、どう考えても・・・・・・)


 シンデレラの視線の先で、なぞの相手が馬を止めた。


 そして、ゆっくりと馬を降りる。落馬らくばではなく、自分の意志いしで。


 こちらとの距離きょりはおよそ二〇メートルだ。


 大きな白いぬのをかぶった相手から、シンデレラは視線をはずさない。その状態でテテルに小声で聞いてみる。


「あれって、テテルの知り合いとか? まさか、五人目の魔女?」


 しかし、そうではなく、


「私の予想が正しければ、いや、たぶん正しい。私たちの先生の一人だよ」


 テテル、クー、スティンクル、リプリスはそれぞれ担任たんにんちがうので、先生は四人いるという。


 先ほど馬車の中でテテルは瞬時に、次のような仮説かせつを立てたらしい。


 四人の先生がそれぞれ、おしろまでの道のどこかで、せしているのではないか。


 で、かく先生の課題(おそらくは模擬もぎ戦闘バトル)をクリアすれば、先に進むことができるのではないか。


 すぐにシンデレラはピンときた。あのタイミングで、テテルが馬車から飛び降りた理由。


 この相手の気配けはい察知さっちしたからこそ、彼女テテルはすぐに動いたのだ。まるで「早い者勝ち」のように。


「つまり、この先生が『最弱さいじゃく』ってことだよね?」


 シンデレラはテテルにささやく。


 ところが、返ってきた答えはみじか沈黙ちんもくだった。


 そのあとでテテルがつぶやく。


ぎゃくだよ。四人の中で『最強』」


「は?」


 ちょっとって。それって最悪なんじゃ・・・・・・。テテルが負けたら、ここで私は脱落リタイアってこと?


 遠のくおしろ、さらば舞踏会ぶとうかい。そんな展開はいやすぎる!


(テテルって、意外と脳筋のうきんおバカさん? 強い相手にわくわくしちゃうタイプ? そんな風には見えないのに・・・・・・)


 シンデレラが困惑こんわくする中、なぞの相手が白いぬのてた。


 背の高い男が立っている。


 黒いよろいを着た美形の男だ。よろいの各所には、青い宝石がまれている。


 夜の風にはためくマント、その内側は白で外側が黒だ。テテルやリプリスと同じ。


 シンデレラは思った。


(まずいな。雰囲気ふんいきだけで、すでに強い)


 とりあえず、この人物が「見かけだおし」であることをいのってみる。


 男がテテルにげてきた。


「俺がここにいる。その意味がわかるな?」


「これも課題の一環いっかん。先生をたおせば先に進める。そういうことですよね、ヴァンプラッシュ先生」


 シンデレラはみみで反応した。この男性、「ヴァンプラッシュ先生」というらしい。


(やばいな。強い人物というのはだいたい、名前が長い傾向けいこうにあるような。しかも、テテルはこの人を『最強』だと言ってるし・・・・・・)


 遠のくおしろ、さらば舞踏会ぶとうかい。このフレーズが悲愴ひそうなメロディーとともに、頭の中でかえされる。


「ヴァンプラッシュ先生、それでは始めましょうか」


 テテルが黒い木刀ぼくとうを両手でかまえた。


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