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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第四章

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Σ(゜д゜lll)  私、普通の民間人

 シンデレラは驚愕きょうがくしていた。何が起こっているのか、理解が追いつかない。


 大きな車体が、目の前を一気にけていく。クー以外の五人がこちらをふり返っていた。全員がおどろきの表情をしている。


 ただし、その直後にリプリスは何かに気づいたらしい。「しまった!」という顔になったのを、シンデレラはのがさなかった。


 リプリスにとって、この展開は不都合ふつごうなのか?


 それとも、あの表情は別の意味?


 最後の最後にキナコがさけぶ。


「シンディちゃん、よくわからないけど、先に行ってってるからー!」


 超巨大馬車がけたあと、正面の視界が一変いっぺんした。


 一〇〇メートル先には山賊さんぞくたちがいる。彼らは馬に乗っているので、この距離きょり安全圏あんぜんけんではない。


 山賊さんぞくたちはまだ十人以上ものこっている。スティンクルたちの攻撃こうげき残念スカポンタンなのか、それとも山賊さんぞくたちが優秀ゆうしゅうなのか。半分くらいしかっていない。


 山賊さんぞくたちはたがいに顔を見合わせている。一方的に飛び道具で攻撃こうげきされていたところに、いきなり超巨大馬車から二人が飛び降りてきたのだ。おどろくのも無理もない。


 が、この間にも彼らの馬は前進している。あと八〇メートルだ。


 そこでシンデレラは急に、体がかるくなったように感じた。なぞ浮遊ふゆうかんによって、落下速度がゆっくりになる。


 たぶんテテルの魔法だ。これで「着地に失敗、あし骨折こっせつ」という可能性はなくなった。そう思いたい。


 今すぐテテルに対してばやに質問したいけれど、最優先で確認したいことは一つだ。


「私、普通の民間人みんかんじんなんだけど、そこら辺わかってる?」


 いくらか戦いの心得こころえがあるキナコやフォーテシアとは、まるでちがうのだ。彼女たちは例外。


安心あんしんして。戦力としては、最初から考えていない。邪魔じゃまさえしないでくれれば、それでいいから」


 つまり、この山賊さんぞくたちはテテル一人でたおしてくれる、ということ。彼女がつま楊枝ようじを投げて、次々と落馬らくばさせていくのを、自分はただながめていればいいわけか。


 シンデレラは一安心ひとあんしんすると、別のことを考え始める。


(ここでテテルの邪魔じゃまをしたら、どうなるのかな?)


 そんなことではなく、


(あのタイミングで馬車から飛び降りたのは、何でだろう?)


 そこでテテルがつぶやく。


「しまったかも」


「どうしたの?」


つま楊枝ようじの本数がりない。敵の方が多い」


「!?」


 その声が聞こえたわけではないだろうが、


「相手はかわいい女の子たちだ。絶対に怪我けがをさせるなよ。そこだけは注意しつつ、俺さま山賊さんぞくだん全員ぜんいん突撃とつげきー! 俺に続けー!」


 山賊さんぞくたちのリーダーらしき男が明るくさけんでいる。


 シンデレラは相手の姿を、奇妙きみょうに思った。


 あの男、貴族きぞくにでもあこがれているのだろうか。水色の服の上に銀のブレストアーマー。そして、白いマントもつけている。普通の山賊さんぞくこのむような格好かっこうではない。


 それに、他の山賊さんぞくたちの何人か、どこかでおぼえがあるような・・・・・・。


(ひょっとして、傭兵ようへいギルドの人たち?)


 去年、家のはたけみのった大量のカボチャ、その収穫しゅうかくつだってもらった時に、たような顔を見た気がする。


 そんな考えが頭に浮かんだのと同時に、シンデレラはふんわり着地した。かった、あしほね無事ぶじだ。


 でも、山賊さんぞくたちとの距離きょりは、もう五〇メートルもない。


 かなりのピンチなのに、テテルが落ち着いた声で言う。


つま楊枝ようじの本数がりない、と言ったのは冗談じょうだん。ちゃんとりてる」


 そういう冗談じょうだんは、時と場所をえらんでしい。魔女め。


 ところが、シンデレラにとって思いがけないことが起こる。


 テテルがつま楊枝ようじかまえようとしないのだ。


 せまりくる山賊さんぞくたち。あと三〇メートル。


 すると、不思議ふしぎなことが起こった。


 山賊さんぞくたちが次々と落馬らくばし始めたのだ。


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