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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第四章

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Σ(゜д゜lll)  ひゃっはー!

 俺さま山賊さんぞくだん襲撃しゅうげきしてくる数秒前。


 シンデレラたち八人を乗せた馬車は、岩壁がんぺきの近くにしかかっていた。


「ん?」


 最初に気づいたのはクーだ。ほとんど同時にテテルも気づく。せの気配けはいだ。


団体だんたいさんがいるみたいだね。屋外おくがいパーティーとかではないみたいだけど、山賊さんぞくかな?」


「私の予想が正しければ、たぶんおそってくる」


 二人の会話を聞いて、スティンクルが笑った。


「ふっふっふっふっ♪ そういうことなら、私にまかせておきなさい。全員まとめてかえちにしてあげちゃおう。おしろへの手土産てみやげに、ちょうどいいかも♪」


「その必要はないと思うよ」


 フォーテシアが口をはさむ。


「この馬車のスピードを上げれば、簡単かんたんにふり切れると思うし」


 しかし、スティンクルはやる気満々だ。近くのまどにはりついた。


 彼女スティンクルと同じように、シンデレラたち七人も車外に視線を向ける。


 大きなカーブをがると、岩壁がんぺき途切とぎれた。


 そこでシンデレラたちは目にする。


 なぞの集団がいた。数は二〇人以上。全員が馬に乗っていて、ハロウィンのコスプレっぽい格好かっこうをしている。


 そういう趣味しゅみ山賊さんぞくたちか? このあたりは夜になると、治安ちあんわるくなるそうだし・・・・・・。


 すでに山賊さんぞくたちは、こちらに向かって馬を走らせている。


 が、彼らのほとんどが唖然あぜんとしていた。そのため、馬の加速が中途ちゅうと半端はんぱになっている。


 シンデレラは満面の笑みを浮かべながら、このなぞ山賊さんぞくたちに少しだけ同情した。


 というのも、こっちは普通の馬車じゃないのだ。通常の馬車八台分はあろうかという、超巨大馬車である。で、シンデレラたちが乗っているのは、その二階部分だ。


 先ほどカボチャをたくさん手に入れたので、こんな贅沢ぜいたくをしてみた。この馬車はパワーもスタミナもあって、装甲そうこうあつい。内部にエンジンを搭載とうさいしているので、馬は不要だ。ノーパカパカ。


 山賊さんぞくたちは今、こう思っているにちがいない。ちんけな馬車だと思ったら、相手は超巨大馬車だったよ!


 馬車の側面そくめんにある大きなまどを、スティンクルが全開ぜんかいにした。


「ひゃっはー!」


 さっそく魔法での攻撃こうげきを始めている。彼女スティンクルの手から発射はっしゃされた光弾が、山賊さんぞくたちの間を飛んでいった。


 そのあとも光弾をいくつか放っているが、


「むむむっ、当たらない! あの山賊さんぞくたち、勇者ゆうしゃ末裔まつえいか何かかも。じゃないなら、魔王軍の残党ざんとうか。ずるいぞ、よけるな! 紳士しんしなら当たれー! そうじゃなくても当たれー!」


 しかし、スティンクルの光弾、小学一年生が投げるドッジボールくらいのスピードだ。山賊さんぞくたちに余裕よゆう回避かいひされている。


 見かねたフォーテシアが、


援護えんごするね」


 護身用ごしんようの「りたたみ式ブーメラン」を開いた。


「オーケー、援護えんごよろしく。この美少女二人の連携コンビプレイで、あいつらをコテンパンにしちゃおう♪ もうあやまるだけでは、ゆるしてあげない!」


 スティンクルがまたもや魔法の光弾を連続で放った。


 やはりおそい。当然とうぜんながら、今回もよけられている。


 が、その直後だ。フォーテシアの投げたブーメランが、ある山賊さんぞく側頭部そくとうぶ命中ヒットする。それで上半身が大きく横にかたむいた。


 その顔面にスティンクルの光弾が命中ヒットする。


 たとえスピードは小学生のドッジボールでも、威力いりょくは別次元だ。スーパーヘビー級ボクサーの全力パンチに匹敵ひってきする。


 鼻血はなぢまみれになって、山賊さんぞくの一人が落馬らくばした。


 それを見て、


「じゃあ、ぼくも」


 クーが金色きんいろ手裏剣しゅりけんを取り出した。


遠隔えんかく攻撃こうげき得意とくいな方じゃないから、私も練習れんしゅうしようかしら。あの中に賞金しょうきんくびでもいたら、ラッキーだし」


 リプリスが魔法で、手のひらサイズの雪玉をつくり出す。ほのかに青白い光を発しているので、ただの雪玉ではないようだ。


 そんな二人の横で、


「よいしょ、っと」


 つま楊枝ようじかまえるテテルだったが、


「テテルはダメ!」


 クー、スティンクル、リプリスから同時に文句もんくが飛ぶ。テテルが参加すれば、一分とたずに、この『山賊さんぞく撃退げきたいまとてゲーム』は終わってしまう。


「わかった。私は反対側を警戒けいかいしている」


 だが、次の瞬間、テテルは気づいた。山賊さんぞくたちにじって、ある気配けはいを感じたのだ。これって、まさか・・・・・・。


 クーも手裏剣しゅりけんを投げる手を止めて、テテルの方を見た。


 二人は無言でうなずき合う。今の気配けはいに、まだスティンクルやリプリスは気づいていないようだ。だったら・・・・・・。


 テテルはすぐさまシンデレラのうでをつかむと、


「私を信じて、ついて来て」


 そんなことを急に言われて、シンデレラはまどった。


 しかし、テテルは止まらない。反対側にあるまど全開ぜんかいにすると、シンデレラのうでを強く引っぱって、車外へ飛び出した。二人ふたり一緒いっしょにだ。


「ほへ?」


 いきなりのみちれダイブに、シンデレラはおどろく。


 顔に強風が当たっていた。そして、足の下には何もない。二階の高さからの空中ジャンプだ!


 シンデレラは瞬時に、視線を馬車の方に向ける。たすけをぼうとしたが・・・・・・。


 クーが超巨大馬車を加速させた!


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