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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第四章

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Σ(゜д゜lll)  ある男の計画

 道から少しはなれた場所で、男はうで時計どけいを見ながら考えんでいた。


(こっちの道をえらんだのは失敗だったかも)


 この国のおしろにつながる道は二本ある。


 こっちはうらみちだ。夜になると人通りが少なく、治安ちあんが一気にわるくなる。


 なので、舞踏会ぶとうかいの参加者たちの多くは、もう片方の道を使うだろう。


(あっちでせした方がかったかな)


 男の目的はおしろに行くことだ。今夜の舞踏会ぶとうかいかならず参加してやる。


 しかし、馬車が一台も通らないのでは、計画が先に進まない。おしろに向かう馬車をおそって、舞踏会ぶとうかいの『招待状しょうたいじょう』を手に入れる計画だ。『招待状あれ』がないと、おしろ門前もんぜんばらいを食らうことになる。


 男は横目で、同行者たちの姿を見た。この国の傭兵ようへいギルドでやとった連中だ。「山賊さんぞくのふりをして馬車をおそう」というのは、先につたえてある。


 また、「馬車に乗っている人たちに怪我けがをさせないように」ともつたえていた。そういうのは自分の性分しょうぶんじゃない。『招待状しょうたいじょう』さえゆずってくれれば、それでいいのだ。


 今日の昼間に傭兵ようへいギルドで、今回の襲撃しゅうげきメンバーを募集ぼしゅうした。


 で、前金まえきんわたして、山賊さんぞくっぽい格好かっこうをしてくるように言ったのだが・・・・・・。


(どう見ても、ハロウィンの仮装かそうだな)


 ほぼ全員がかる変装へんそうしている。自分の正体をさとられないように、顔はそれなりにメイクなどをしているが、よろいの上からうすいコスプレ衣装いしょう羽織はおっただけ、という者がほとんどだ。中には、白いぬのをかぶっただけ、という者までいる。


 とはいえ、この男自身も、「いかにも山賊さんぞく」という格好かっこうはしていない。


 水色の服の上に銀のブレストアーマー。そして、白いマントだ。


 左右さゆうつののついたバイキングヘルムを、先ほどまではかぶっていたが、今ははずして地面に置いていた。このバイキングヘルムは重すぎる。持ち帰るのも面倒めんどうだし、ここにてていこう。


(動きやすさを優先するなら、あのくらいの仮装かそうの方が合理的なのか)


 傭兵ようへいギルドは、わるくない人選じんせんをしてくれたようだ。思っていた以上に、礼儀れいぎ正しい者が多いし。


 そんなことを考えていると、白いぬのをかぶったやつが近づいてきた。


 そいつが無言で地面にしゃがみむ。


 その前方の地面がいきなり、円形えんけいに発光し始めた。かと思ったら、魔法陣まほうじんが出現する。


 魔法陣まほうじんの中から、何かがせり上がってきた。


 それが何かはすぐにわかった。「自動販売機」だ。初めて見る魔法に、男は感心する。


 ちょうどのどかわいていたことだし、


「みんな、一本ずつ飲んでくれ。俺のおごりだ」


 自動販売機に紙幣しへいを投入する。男は炭酸飲料コーラえらんだ。


 それを飲みながら時間をつぶしていると、またもや白いぬのをかぶったやつが近づいてくる。


 そして、おしろとは反対の方角を、無言でゆびした。


 リチャードはそちらに顔を向ける。


 道の向こう側から何かが近づいてくる、そんな気配けはいがあった。ここからだと岩壁がんぺきはばまれていて、その姿を見ることはできない。


 だが、リチャードはにんまりした。やっと馬車が来たらしい。


 この場所でせしようと決めたのには、ちゃんと理由があった。


 大きなカーブをがった直後なので、馬車はかならずスピードを落とす。


 また、道の片側に大きな岩壁がんぺきがあり、自分たちがひそんでいるのを、ここにやって来る相手は見ることができない。


 馬車を奇襲きしゅうする上で、絶好ぜっこうの条件がそろっているのだ。


「みんな、手はず通りにたのむ。この奇襲きしゅうに成功したら、報酬ほうしゅうは約束の二割にわりしをはらうぞ」


 リチャードは黒い覆面ふくめんをしてから、馬にび乗る。傭兵ようへいたちも同様どうようだ。


「俺さま山賊さんぞくだん突撃とつげきー!」


 二〇頭以上の馬たちが一斉いっせいけ出した。


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