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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第四章

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Σ(゜д゜lll)  お金です

 さて、話はシンデレラの方にもどる。


「お・か・ね?」


 シンデレラが聞き返すと、


「そう、お金です」


 リプリスが笑顔で答えた。


「さっきテテルが言ったように、今回のミッション、『私たちの一人だけがクリアできる』という競争サバイバルではありません。『四人全員がクリアできる』方法が存在します」


 というのも、あの契約書けいやくしょで、最も注目すべきなのは、「記載きさいされた金額を学校におさめる」ことだ。


 他にも見落としてはいけないのが、「それぞれが指定していされた相方パートナー――テテルの場合はシンデレラ――と契約けいやくする」こと。そうした上で、「その相方パートナーをおしろれて行き、今夜の舞踏会ぶとうかいに参加させる」ことだ。


 あの契約書けいやくしょは非常にまぎらわしい書き方をしているので、誤解ごかいしやすいが、「王子さまとの結婚けっこん」は、あくまで「手段の一つ」として紹介しょうかいしているにすぎない。


「別に王子さまと結婚けっこんしなくても、契約書けいやくしょしるされた金額さえ学校におさめれば、今回のミッションはクリアできます」


 つまり、お金が重要。手段をえらばなければ、たとえば銀行ぎんこう強盗ごうとうという方法もある。


 ただし、その場合であっても、それぞれの相方パートナーをおしろれて行かなければならない。


 なので、「王子さまとの結婚けっこん」を目指めざすのが、まずは基本になるだろう。


 シンデレラたちのだれかが王子さまと結婚けっこんすれば、その時点でミッションはクリアだ。お金はあとからついてくる。この場合にかぎり、それが通用するのだ。


 また、王子さまと結婚けっこんできない場合でも、「おしろれて行く」のを達成済みなら、そこから他の手段に切り替えればいい。たとえばおしろからまち賭博場カジノに移動して、そこでおおもうけできれば、ミッションをクリアだ。


 ただし、この場合には「タイムリミット」が存在する。「王子さまが結婚けっこん相手を決めた時」に「必要な金額を用意」できていなければ、テテルたち四人は『退学たいがく』になってしまう。


 ようするに、今回のミッションは「お金」で決まる。テテルたち魔女にとって、自分の相方パートナーが王子さまと結婚けっこんできなくても、「お金」さえあればいいのだ。


 たとえばの話、シンデレラが王子さまと結婚けっこんした場合、テテルの分だけでなく、クー、スティンクル、リプリスの分まではらうことにすれば、四人全員がクリアできるという。


 キナコやフォーテシアが結婚けっこんする場合も同様どうようだ。このミッションは、テテルたち四人の内、『一人だけがクリアできる』という競争サバイバルではない。


 それでリプリスは、共闘きょうとうしようと持ちかけてきているのだ。


 どのみちおしろへは行くんだし、基本的には王子さまとの結婚けっこんねらう。シンデレラたち四人のだれかが結婚けっこんできるように、テテルたち四人でサポートするのだ。仲間同士による足の引っ張り合いはしない。


 また、シンデレラたち四人全員、王子さまと結婚けっこんするのが無理そうなら、すぐさま別の作戦に切り替える。他の方法で必要な金額を用意するのだ。この場合もテテルたち四人は共闘きょうとうする。


(なるほど)


 シンデレラはテテルと相談そうだんした。


「私の考えが正しければ」


 テテルもリプリスと同意見だという。契約書けいやくしょの話は本当らしい。


「もっと早く気づいていればかった。でも、最終的にはシンデレラの意見を尊重そんちょうする」


 テテルに言われて、シンデレラは考えた。


 リプリスの提案を受け入れた場合、「王子さまと結婚けっこんする可能性」が一番ありそうな者を、四人の魔女がサポートするのか。


 その一人は自分かもしれないし、そうじゃないかもしれない・・・・・・。


 そこで、あるアイデアをひらめいた。


「じゃあ、みんなで共闘きょうとうしよう」


 ただし、一つ条件をつけたい。


 今夜の王子さま争奪戦そうだつせんにおいて、最初は私を優遇ゆうぐうして♪


 そんなことを言うつもりはなかった。自分以外が王子さまと結婚けっこんすることになっても、笑顔で受け入れようと、今は思っている。


 そもそも、おしろ舞踏会ぶとうかいに行けること自体が奇跡だ。王子さまと結婚けっこんできなくても、一生の思い出になる。


 自分がつけたい条件は、これだ。


 テテルたち四人が必要としている金額、それを目標もくひょうにはしない。もっともっと上を目指めざす。


 そんな大金で何をするのかというと、


「テテルたちの学校を買っちゃおう」


 そうすれば、自分は学校の共同所有者だ。共同所有者の特権とっけんってことで、便利な魔法を無料ただで教えてもらい放題ほうだい


 ところが、テテルがジト目で、


「さすがに却下きゃっか。現実的に考えて、買えるとは思えないし、たとえ買えたとしても、学校の評判ひょうばんが確実に下がる。それはいやだ」


「そんなつめたいことを言わずに、できそうだったらでいいからさぁ」


「うーん、考えとく。でも、これは私たち二人だけの秘密ひみつってことで」


 意見はまとまった。


 シンデレラはリプリスに、次のようにつたえる。目標もくひょうとする金額はきっちり決めずに、少しぼかして「テテルたち四人全員が『退学たいがく』にならない金額」にしよう。


「じゃないと、もしも追加ついかしょ経費けいひが必要になった時、ものすごーく悲しいことになるかも・・・・・・。その時になって、やる? だれが『退学たいがく』になるのかを決めるジャンケン。もしくは、ダーツ」


 この修正案をリプリスが受け入れたので、シンデレラはほくそ笑む。


 しめしめ。もしも本当に学校を買うことができたら、テテルたち四人の『退学たいがく』はもちろん無効ちゃらだし、この選択はたぶんちがっていない。


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