Σ(゜д゜lll) わかっております、魔女さま
良い魔女と、悪い魔女。
この女の子はどちらだろう。
・・・・・・というより、本当に魔女なのか? 魔女にしては、服装が違うような。
頭にかぶっているのは、縁のついたとんがり帽子だ。たしかに、これは魔女っぽい。
しかし、黒いローブは着ていない。黒いプレートアーマーに、青いミニスカートだ。
そして、内側が白で外側が黒という、マントをつけている。これで剣でも持っていたら、魔法戦士だ。
まあ、魔法戦士にも「良い人」と「悪い奴」がいるのだけど・・・・・・。
この女の子は自分よりも小柄だが、油断するわけにはいかない。
シンデレラは今すぐ逃げ出そうかとも考えたが、相手は『瞬間移動』を使えるから、逃げても無駄だろう。
それよりも、彼女の『瞬間移動』に魅力を感じた。ちょっとがんばったら三日くらいで習得できる、そんな感じのやつなら、ぜひとも教えてもらいたい。
(もしも、この子が良い魔女なら・・・・・・)
せっかくのチャンスだ。有効利用するに限る。
そんなことをシンデレラが考えていると、謎の女の子が言う。
「あのまま私を帰していたら、あとで後悔していると思うよ。私の予想が正しければ、たぶん三日後くらいに」
シンデレラは心の中で大きくうなずく。そうですとも、先生。私に『瞬間移動』を教えてください。ナマケモノでも習得できるような「超簡単コース」で。
それをマスターすれば、家の中を移動する時に、いちいちドアを開ける必要がなくなる。そうなると当然、ドアを閉める必要もなくなるので、すごく便利だ。
「魔女です。あなたを助けにきました。怪しい者じゃないです」
謎の女の子が繰り返してくる。
シンデレラはにこにこすると、
「わかっております、魔女さま。いつか来てくださると、お待ちしておりました」
相手の機嫌を損ねてはならない。うまくおだてて、そのあとに切り出そう。『瞬間移動』を教えて、と。
シンデレラが急に態度を変えたので、謎の女の子はほんの少し眉をひそめたが、
「私は魔女の【テテル】」
気にしないことにしたらしい。簡単な自己紹介をしてくる。本名はもっと長いので、普段は短縮形を名乗っているそうだ。
「テテルさまですね」
「いいよ、『さま』とかつけなくても。今は『見習い』だし」
テテルは自嘲気味に言うと、ミニスカートのベルトを指差した。腰の横あたりに、『見習い』と書かれた「丸いバッジ」がついている。
そういうわけで、ここから先、敬語は不要だとか。
「わかりました。いや、わかったよ。テテルちゃん」
いきなりの『ちゃん』づけで、一気に親しさの距離をつめようとするシンデレラ。早く教えてくれくれ、便利な『瞬間移動』♪
「・・・・・・まあ、それでいいよ」
少しだけ照れくさそうな反応を見せてから、彼女は咳払いをすると、
「今からお城に行きたいかー!」
右の拳を突き上げて叫んだのである。