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カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第二章

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Σ(゜д゜lll)  現行犯

 走り出すシンデレラ。


 あのかわジャンの女の子、「スティンクル」というらしいが、とんでもないことをしてくれた。


 魔法の手錠てじょうでつながっているので、キナコも走り出す。テテルとクーも続いた。


 走りながらシンデレラは考える。


 一瞬だけだったが、のがさなかった。


 スティンクルがおりの中で声をり上げている時だ。フォーテシアがおしろの方を、さっとゆびしたのだ。


 何をつたえようとしていたのかはわからない。でも、こういう状況じょうきょうで何の意味もなく、ああいうことをする子じゃない。必ず意味がある。


 走り出した時、げる方向の選択肢せんたくしは二つあった。おしろに向かう方と、そうでない方だ。この道を前に進むか、それとも引き返すか。


 シンデレラがえらんだのは前進だった。フォーテシアを信じてみる。


 ちらりと背後をふり返ると、兵士たちの姿が目に入った。まずい。すごい数が追いかけてきている。


(これって、あのはたけにいたほぼ全員なんじゃ・・・・・・)


 シンデレラは顔をもどして懸命けんめいに走る。


「お先にー」


 クーにあっさり追いかれた。まあ、彼女は仕方がない。ほら、忍者っぽいし。


「私も先に行く」


 プレートアーマーのテテルにも追いかれた。さらに和服のキナコにも。


 シンデレラは重要なことに気づく。この四人だと、自分が一番足がおそいのだ。しかも、他の三人とはかなりの差があるっぽい。


(つまり、真っ先につかまるとしたら私?)


 とはいえ、キナコとは手錠てじょうでつながっているので、彼女もみちれだ。すぐ前を行くキナコとは、これ以上の差は広がらない。


 彼女にはもうしわけないと思うものの、こういうこともふくめての同盟どうめい関係だ。


 しかし、できることならつかまりたくない!


 おりの中で『お目々のラジオ体操たいそう』をする自分、そんな想像をふりはらって、シンデレラは必死に走った。


 けれども、後方からは足音のれが、どんどん近づいてくる。


 フォーテシアやスティンクルとちがって、こっちはまだ「未遂みすい」なのに、兵士たちがさけんでいる。


「カボチャ泥棒どろぼうども、ちやがれー!」


 すでに「泥棒どろぼうあつかいだ。


 きちんと訂正ていせいしてしい。


 だが、こまったことに、今持っているエコバッグの中には、「カボチャがまるまる一個」入っている。


 状況じょうきょうてきには「現行犯げんこうはん」だ。スーパーのレシートを見せても、信じてもらえない気がする。カボチャ泥棒どろぼうチャレンジに成功したと、かんちがいされる気が・・・・・・。


「シンデ・・・・・・シンディちゃん、もっといそいで」


 兵士たちに聞こえるかもしれない距離きょりなので、本名ほんみょうけるキナコ。


 次の瞬間、兵士たちが言う。


「あれって、『おだんご屋さん』のキナコちゃんじゃないか?」


「そういえば、ているな」


 この場面で桜色さくらいろの着物がわざわいする。そんな服装ふくそうを普段からしているのは、ここら一帯いったいだと彼女キナコくらいだ。ばれない方がおかしい。


 その直後である。


「シンデレラちゃん! もっといそいで!」


 キナコが大声でさけんだ。


 シンデレラはあせる。


 ここら一帯いったいで「シンデレラ」という名前は、自分一人しか知らない。


 あとは野良のらねこ一匹いっぴきだ。継母ままははと義理の姉二人がよく虐待ぎゃくたいしている。


「シンデレラちゃん、私は洗濯せんたくちゅうだった着物を何者かにぬすまれたことにするね」


 ささやいてくるキナコ。


 シンデレラは考える。そっちがそういう考えなら、ここで足を止めて兵士たちにつかまってやろうか。


 そうすれば、つかまるのは自分だけじゃない。キナコもみちれだ。手錠てじょう万歳ばんざい


 そこにクーとテテルが引き返してくる。自分たちだけげたことをふか反省はんせいして、助けにきてくれたのか。


 クーが早口で言う。


「ごめんごめん。わすれていたよ。これだと走りづらいよね」


 テテルがエコバッグをうばい取って、


「カボチャは私があずかる。魔法の手錠てじょうは今すぐ解除かいじょするから」


 そして、魔女二人が同時にさわると、黒い手錠てじょうがかき消えた。手首が一気に軽くなる。


 その直後だ。


 キナコが加速しやがった!


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