表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カボチャが値上げ、怒りのシンデレラ (Pumpkin price hike. Cinderella gets angry.)  作者:
第八章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

100/132

Σ(゜д゜lll)  最大火力で(その三)

 金髪の王子と銀髪の執事しつじは、まどの外を見上げていた。


 ここまでは、ウルフェニックス先生たちに聞いていた通りだ。しろの時計台に封印ふういんされていた最強魔女ゴルディロックス復活ふっかつ


 まどの外に見えているのは、特撮とくさつヒーローのような金属スーツを着た人物だ。外見こそゾーンビルド先生だが、凶悪きょうあく気配けはいただよわせている。


 どうやら、最強魔女ゴルディロックスがゾーンビルド先生の体を乗っ取ったらしい。


 これも、先生たちに聞いていた通りだ。確実とまでは言えないが、そのような可能性もあるとか。


 ただし、それはどちらかと言うと、このましい状況じょうきょうだとも聞いている。ああやって体を乗っ取らせたのは、おそらく作戦。先生たち、特にゾーンビルド先生には、何か考えがあるのかもしれない。


 金髪の王子と銀髪の執事しつじは、すぐさま動いた。事前に聞いていたので、自分たちにおどろきは少ない。混乱こんらんすることなく、予定の行動をとった。


 まず、舞踏会ぶとうかいを中断させる。


 それから、招待客しょうたいきゃくたちの避難ひなんだ。しろの者たちの誘導ゆうどうによって、しろの正門へと向かってもらう。


 避難ひなんが始まると、金髪の王子と銀髪の執事しつじ舞踏会ぶとうかいの会場から出た。


 ただし、自分たちはしろの正門ではなく、ここよりもっと上の階、そこにある空中くうちゅう回廊かいろうへと向かう。今の状況じょうきょうを高い場所から確認しておきたい。隣国りんごくの王子、リチャードもついて来た。


 金髪の王子は走りながら考える。


 あの最強魔女ゴルディロックスには、おそるべき力がいくつもあるらしい。


 その一つが、「自分の周囲しゅういにいる男性を、カエルに変えてしまう」能力だ。


 空中くうちゅう回廊かいろうに着くと、いきなりの当たりにする。あれが最強魔女ゴルディロックスの力なのか。時計台に近い場所、そこにいる兵士たちが次々と、カエルの姿に変わっていく。


 しかも、『カエル化』の範囲はんいは少しずつ広がっているようだ。この空中くうちゅう回廊かいろうはまだ「安全エリア」だが、いつ「危険エリア」に変わってもおかしくない。


 さらに別の脅威きょういもある。


 最強魔女ゴルディロックスのつくり出した火球だ。むらさきいろをしたカボチャ型の火球が大量に、夜空にいている。


 金髪の王子たちが空を見上げていると、火球の一部が動き出した。このしろそそいでくる。


 今日のために前もって、先生たちの魔法で「しろかべを強化」してもらった。そのおかげで、今のところしろ被害ひがいは小さい。


 だが、これ以上の攻撃こうげきになると・・・・・・。ってきた火球は、ほんの一部にすぎないのだ。


 事前に聞いていた話だと、ウルフェニックス先生たちは「最強魔女ゴルディロックス封印ふういん専念せんねんする」ので、「その前の戦闘せんとうには基本的に参加しない」とか。


 だから、「最強魔女ゴルディロックスと戦う者たちをれてくる」と聞いていたのだが・・・・・・。


 空中には現在いま、数人の女の子たちがいる。あの女の子たちはおそらく魔女だ。普通の人間は、あんな風に空を飛ぶことはできない。


 その内の一人は、はっきりとおぼえがある。舞踏会ぶとうかいの会場にいて、おさらに料理を高くりつけていた。


 あの時はドレス姿だったが、今はちがう。黒いセーラー服の上に、銀色ぎんいろかわジャンを着ている。あのかわジャン、りょうそでが切り落とされていて、「ノースリーブ」になっていた。


 他に、黒いプレートアーマーを着た女の子もいる。


 さらに、あと二人。合計四人だ。


 彼女たちで本当に大丈夫だいじょうぶなのか? あの四人がそれなりに強いとしても、さすがに相手がわるすぎるのでは・・・・・・。


「王子、少し移動しましょう」


 銀髪の執事しつじげてくる。


 その視線の先を見て、金髪の王子はさっした。


 兵士がまた一人、カエルの姿に変えられてしまったらしい。最強魔女ゴルディロックスの『カエル化』能力、その範囲はんいが確実に広がっている。あのあたりは先ほどまで、「安全エリア」だったのに・・・・・・。


「そうだな。もう少し距離きょりをとろう。おい、リチャード、ここから今すぐ」


 隣国りんごくの王子に声をかけようとして、金髪の王子は気づく。


 リチャードがいないのだ。今の今まで一緒いっしょだったのに・・・・・・。


 まさかと思い、足元をさがす。


 そこにカエルはいない。


 が、リチャードもいない。


「王子、あそこです! あのバカっ!」


 銀髪の執事しつじゆびしたのは、もう一つ先の空中くうちゅう回廊かいろうだ。


 リチャードが走っている。何を考えているのか、時計台がある方へと向かっていた。


 あっちはすでに、「危険エリア」だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ