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第96話 発表会② 地と空は青く踊る~隙間の一篇~

 しばらくの沈黙の後、観衆は絶賛の拍手喝采をアーネストに送る。彼は表情を崩さずに観衆に手を挙げて応える。そして、私の背中を少し押しながら、元いた場所へと戻った。


「流石は純潔様。賞賛されるのが当たり前のように涼しい顔で戻ってくるな」


 元の場所に戻ると腕を組んだジークがアーネストに言葉の棘を飛ばす。


「そうだな。賞賛されるべき発表をしたからな。でも、それは協力してくれたアルマリアもおかげであることも僕は知ってる。だから――」


 アーネストが私の顔をまっすぐに見る。橙色の瞳が私の瞳を見据える。


「ありがとうアルマリア。君のおかげで助かった」

「いや、私はただ魔法を撃ってただけでからな。それに色々とアドリブ入れて、びっくりさせたと思うし、むしろごめん」

「全然問題なかった。良いアイデアだとも思ったさ。だから謝るな」


 アーネストはそう言い、私の頭に優しく手を置く。言葉のわりに優しいその手に、私は不意に心臓が跳ねた。すぐそばでは熱気と冷気が高まっている様子が肌を通して感じる。


「ねえジーク。この男、氷漬けにしてやる? それとも燃やし尽くす?」

「どうせなら半分ずつやるか、エルヴィラ。アルマリアの手に置いた手は永遠に使えないように溶かしてやる」

「ちょ、二人とも落ち着いて! 別にアーネストも他意はないよ」

「ふん。これぐらいで感情をさらけ出すとは、まだまだだな。特にエルヴィラは純潔なんだ。感情だけで動くのはやめた方が良いぞ」

「えっ? ふ、ふん! 言われなくても分かってる!」

「そうか。ほら、さっさと座れ。発表がまた始まるぞ」


 アーネストはそう言ってその場に座る。純潔一族用のエリアもあるはずだが、彼はエルヴィラと同じで一般生徒たちのエリアで発表を見るつもりだろうか。私も釣られてその場に座る。ジーク達も納得していない様子でその場に座り、ぶつぶつと何かを言いながら、発表の方へと目を向けたのだった。

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