第95話 発表会② 地と空は青く踊る
私とアーネストは発表の場所へと歩き、練習通りの立ち位置に着く。そして、アーネストが私にアイコンタクトを送り、発表が始まった。
私は水属性魔法の小弾をいくつも出現させ、それを彼目掛けて撃ち放つ。彼は地属性魔法の槍を2本、魔法で作り出し、水属性弾を的確に弾いていく。その華麗なる槍裁きにクラスメイトのほとんどは感嘆の声を上げる。ただ、腕を組んだり蔑むように見ている純潔一族の人たちは、何も感じていないようだった。
打ち合わせではただ水属性弾を撃ち込むだけと言われていたが、実際にやってみるとこれだけだとなんだか味気ない。どうせなら映える姿も見せた方が良いだろうと思った私は、徐々に水属性弾の中に風属性の鳥たちを織り交ぜ、緩急のある攻撃を打ち込み始めた。すぐに異変に気付いたアーネストは少し眉をひそめたが、槍の数を4本に増やし、その緩急のある魔法弾の応酬に対応してきた。こちらも負けじと、水属性の犬や猫を作り出し、地面からの強襲も織り交ぜ始める。アーネストはさらに地属性魔法で地面から突き出る無骨な針を、水属性の犬や猫の動きに合わせて的確に当てて防ぐ。
飛び散る水滴が宙を舞い、日中の陽の光に反射して輝く。それはまさに青春の中に踊る男女の戯れに見えるだろう。少なくとも私は、水滴の中踊るアーネストの姿を見て、心躍っているのだから。
私は最後に水属性の槍を作り出し、アーネスト目掛けて放つ。アーネストも同じく、4本の槍を重ねて一本の重厚な地属性の槍に変化させ、向かい撃ち、弾ける水滴の中、彼の発表はフィナーレを迎えたのだった。