第90話 共通の楽しみ
夕方のオレンジ色に輝く空を見ながら、私は屋上広場のある3階建てのお店に来ていた。ここは様々なジャンルのお店が入る小規模な建物で、その一角に、旅人を対象にした総合ショップがある。そこで私はどんなものがあるのか、見に来たのだ。
(やっぱり衣服系は基本的に防水機能はあるんだ。値段が高ければ付随して機能も高くなったり、多機能になっていくって感じね。あ、この薄めのロングコート、良いかも。防水、防刃機能が付いて、速乾、保温機能もあるからオールシーズンで使えそうか。まあそもそもそんな暑い時期とかないし、こういうの一着羽織れれば大体大丈夫そうだな。いつか買おう)
私が衣服コーナーで衣服を見ていると、小さな声で私を呼ぶ声が聞こえた。
「あ、アルマリア?」
「あれ、イヴリン? どうしたの? メーヴィスとなんか発表会のことで話してなかった?」
「う、うん。あれは大体決まったから、後は実践で詰めることになったんだ。ここは、私もよくここにはきてるから、来ただけ」
「そうなんだ。ここを知ってるの、私だけかと思ってたから、ちょっと意外だね」
「ここの品物は高機能はものが多いから、見ているだけでも楽しくて」
「分かるよその気持ち。どんな機能があるのか見るだけでも楽しいよね。ね、もし良かったら屋上広場で休憩しようと思ってたんだけど、付き合ってよ」
「う、うん。良いよ」
イヴリンは俯きつつも笑顔でそう言い、答える。そして、私たちはその店を後にし、屋上広場へと向かった。