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第83話 静かな治療
聞こえて来た声に釣られ、私とイヴリンは小さな広場に出る。そこには、ジークと女子が一人、同じベンチで座っていた。その女子は回復魔法と思われる魔法を使い、ジークを癒している。私は彼らに見えない場所にしゃがみ、自然の風から聞こえてくる声に耳を傾けた。イヴリンも私と同じようにする。
「結構ひどいダメージだよ。もう本当にジークはいつも無茶ばかりするんだから! 少しは自分の体を考えた方が良いよ」
「分かってる。でも仕方ないだろ。俺は戦い続けなきゃいけないんだから」
「結局それも生まれた一族がそうだったってだけで、別に拘らなくていいんじゃない? ……私は、傷ついてくジークの姿、見たくないよ」
「フィオレ……」
ジークは黙り込む。フィオレは回復魔法の発動を続けていた。