第82話 風吹く雑談
私たちは二手に分かれてジークを探すことにした。振り分けは、オズマンドとメーヴィス、私とイヴリンとなった。
イヴリンと私は体育館の方に続く道を歩きながら探すことにした。広大な敷地の中、ひびが所々入った道を歩き、周囲を注意深く見回る。
「やっぱり、魔導研究学校に比べると、全然整備されてないね」
「そうなの? これが普通だと思ってた」
「全然違うよ。だって、最新の研究が出来る、していくことがこのベラン王国の売り、だからね。ほとんどの純潔一族はその学校にいくはずなのに、今年が異例なんだよね」
「騎士養成学校に純潔が多く入ったことだよね。そういう事情とか全く分かんないんだけど、何か理由あるのかな」
「うーん、私も良くは知らないけど、やっぱりエルヴィラのお兄さんが影響してると思うよ。だって、あの人もこの学校卒業してるからね。学校に入れて強くしたいとかじゃなくて、他の一族のプライドが許さないんだと思うよ。あの一族が騎士養成学校を出て優秀な結果を残しているなら、自分たちも出来るはずだってね」
「なんだか、めんどくさいね。意地とかプライドとか、一族の面目とかさ」
「仕方ないよ。それが歴史だし、純潔一族の文化なんだよ。この国の民族はそれが文化なんだよ。アルマリアみたいに、外から住んでる移住民族の人たちからしたら、変に思うよね」
「多分、私は永遠に馴染めない文化だと思うよ」
生ぬるい風が頬を撫でる。その風に乗って聞こえてくる声と一緒に。