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第80話 疑問の日常

 私たちを追っていた奴らは全員地面に倒れ、白目を向いている。死なないように威力だけは押さえたつもりなので、死んではいないと思うが、私は改めて、自分自身のこの天性属性がいかに強力なものであるかを実感する。


「マジでやばいね! アルマリアの魔法であの数を一瞬でやっちゃたじゃん!」

「ええ、本当に、凄まじい威力の魔法ですよ。一体どんな属性なのか、研究したがる人は多いでしょうね」

「……ほんと、自分でもそう思うよ」


 私はまだ本当のことを2人には言えていない。言うかどうかは私一人では決められない。そのことを毎日のように両親から言われてきているから。正体がばれることは、自分だけの問題じゃなくなるから。

 私は一息つき、2人を見る。


「また戻ろう。ジークが心配だよ」

「あ、そうじゃん! ジーク大丈夫かな~魔法で競り負けてたよね?」

「ええ、流石は純潔一族ですよ。ジークの近接攻撃魔法は同年代でもかなり強いですけど、まさかあんな簡単に弾かれるなんて」


 私は先ほどの校舎の方へと駆け足を始め、2人も後ろに続く。血の気の多い純潔が彼に何かしていないことを祈りながら。


「それにしても、純潔って気に入らないとこうも暴力的になる奴が多いの? エルヴィラみたいな子が逆に珍しい感じなのかな」

「まあ、一律にそうとは言いにくいですが、歴史から見てもやはり力で支配してきたこともあるのが純潔一族ですからね。いわゆる武闘派の純潔も当然いるんですよ。今回の彼、シルウェリウス一族は、最近は大きな出来事はなかったですけど、自分たちが生まれる前ぐらいには、一般人を魔法の訓練だと言って無差別に攻撃して、一時期話題になっていたと聞いてます」

「それ、普通に犯罪じゃない? 騎士団に逮捕されてないの?」

「当然、騎士団は捜査はします。でも、結局うやむやにされて最後は何もなかったかのように話題から消えるんです。この国の生まれだとそれが日常で、それが文化になってるんですよ」

「……ふうん。なんか、ヤバいね、純潔の文化って」


 なぜ私の一族がこの国に移住してきたのか、疑問が増えていくばかりの出来事が中学に上がって起こっている。それらを考えられるように成長したのかもしれないが、同時に疑問ばかりが頭を渦巻く。とにかく今はジークの安否を確認するため、私たちはいったん会話を止めて移動に集中するのだった。

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