第79話 空の力
男子生徒の集団から炎属性の魔法が飛び交い、それらをオズマンドの水属性の魚群とメーヴィスの重力属性で防いでいく。私は逃げながらある魔法を準備していた。
私たちを追う集団は大体20、30人ほど。恐らくグラノルスの従属一族か関係する人たちだろう。いくらこちらが魔法を防いでも、数を利用して絶え間ない属性魔法攻撃が続いていく。
「アルマリアの魔法はまだ準備出来ない? 流石にこの数の魔法を裁くのきついって!」
「わたしの水属性防御魔法も限界はありますよ」
「大丈夫。もう準備は出来たよ。後は広いグラウンドに行けばやれる」
私はそう言い、近くのグラウンドへと走る。整備された道を駆け抜け、すれ違う生徒たちの間を通り、そしてグラウンドに出る。そこは比較的小さめなグラウンドで、いるのは放課後を楽しむ生徒たち数人だけだった。
私たちはグラウンドに入り、そのまま反対側へと走る。私たちの追手の集団もなだれ込み、私たちは囲まれた。
彼らは誰も言葉を出さない。ただほぼ同じタイミングで炎魔法を発動しようと準備をしている。オズマンドとメーヴィスもそれぞれの防御魔法を準備して迎え撃とうとしていた。
「2人とも、ありがとう。もう大丈夫」
私は2人に聞こえるように言う。そして私は空を見た。
空は急激に分厚い黒の雲に覆われ、すぐさま大雨が降り始める。すぐ後には雷が雲を迸る。そのままずぶぬれになった集団に向かって、雷が落ち、死なないように威力を軽減させながら、私たちに敵対する集団全員を感電させ、気絶させたのだった。