第78話 外に向かって大きな一歩を
凄まじい爆風と煙が辺りを覆う。私は飛ばされないように体勢を低くし、オズマンドとメーヴィスも同じように態勢を低くする。それらは少しして落ち着き、辺りを見る。窓側の壁はことごとく破壊され、床と天井も爆心地付近は大穴が空いている。ジークは衝撃で吹き飛ばされたのか、廊下に倒れ、大穴の向こう側にいるグラノルスは余裕の表情でこちらを見ていた。しかし、その右手の拳は過激な力に当てられたのか、震えていた。
「ふん。オールディントン一族はいつも純潔の邪魔をする。そんな態度だから社会から冷めた目で見られるんだくそが。大して力もないのに、行動することしか取り柄のない歴史だけ長く刻んだ哀れな一族がよ」
「……」
グラノルスの罵倒にジークは反応しない。そして、彼は上半身だけ起こし、私たちに言う。
「早くここから逃げろ。外に出れば勝機はあるだろ?」
私は小さく頷き、立ち上がる。後方の廊下からはすでにグラノルスの従属一族の男子たちが集まってきていた。恐らくボスの合図を待っているのだろう。オズマンドとメーヴィスも立ち上がり、私たちは背中合わせで密着する。
「アルマリア、どうする!? もう階段の方はあいつの下僕でいっぱいだよ!」
「うん、だから、一気に外に出られる方で行こう。大丈夫、私とメーヴィスがいれば安全に行けるよ」
「良いね! そういうの大好き! オズ、行くよ!」
「マジで言ってるのですか? 私はあまり得意じゃ……」
私はオズマンドの言葉を最後まで聞かず、壊れた窓側の壁へと走る。そこにあるはずの壁は一切なく、外に続く玄関になっている。私は外へと飛び出した。続けてメーヴィス、彼女に手を引かれて恐る恐る付いてくるオズマンドが飛ぶ。私とメーヴィスはそれぞれ風属性と重力属性を発動し、風のクッションと重力のクッションを作り出し、落下速度を落として地面へと着地した。すぐに上を見ると、私たちを見下ろすグラノルスがいた。
「さあ、狩りを開始しろ! 仕留めて俺の前に出した奴には家族含めた褒美をくれてやる!」
その声と共に、あらゆる方向から人が私たちに迫ってきたのだった。