第73話 立場の違い
生徒会の人たちは、純潔一族の標的にされていた女子生徒の方へと歩み寄る。
「君はもうクラスに戻って」
見るからに生徒会長そうな男子生徒からそう言われ、静かに頷いた女子生徒は、いそいそと立ち上がり、私たちに一瞥しながらその場を去った。残ったのは、私たち3人と、純潔一族の男に従属する男子生徒、そして生徒会の3勢力。ほんの少しの間、静寂があったが、その静寂は生徒会の声で終わりを迎える。
「どうか、この場はこれで納めて頂けないでしょうか。流石にこの敷地内では極力生徒間の関係は平等にするようにと……」
「貴様、ノルリリウス一族だな。純潔騎士団の部隊長をしているだろ」
「……ええ、父と母がそうです」
「ノルリリウスの人たちには世話になってるし、その功績に免じて、貴様が言うように、この場は納めてやろう」
純潔一族はいかにも上から目線な言葉を生徒会へと向ける。純潔一族は生徒会の方へと歩き、最後に捨て台詞を吐いた。
「次に邪魔したら、貴様の一族はこの国で生活出来なくしてやる」
その言葉を終えた純潔一族は、そのまま教室の方へと歩いて行った。従属の男子生徒たちもべったりと後ろにくっついていく。
生徒会の人たちは少し険しい表情をしていたが、すぐに切り替え、次に私たちに話しかけて来た。
「さて、君たちは、一度生徒会室に来てもらおうかな」
先ほどまでの厳しい表情から一転、柔らかい口調と笑顔が私たちに向けられたのだった。