第71話 学校の再開
私は手を上げ、先生の質問に回答する。ある授業では指定された魔法を発動し、ある授業では資料集の文を進んで読み上げる。ここ数日の授業のほとんどを、私は積極的に参加し手を挙げた。先生たちからはポジティブな言葉をもらい、クラスメイトの純潔に従事している一族の人たちからは冷ややかな視線をもらった。友人たちからはいつも驚きの顔を向けられ、そして数日たったある日の放課後、部室でメーヴィスとオズマンドについにつつかれた。
「最近アルマリアめっちゃ積極的じゃんね! 最初の方は全然興味なさそうに窓の外見てたのにさ!」
「良い心がけですけど、まさか、赤点を取らないためにやっているんです?」
「うん、そうだね。一応勉強はしてるけど、ちゃんと赤点取らないようにしないとって思ってさ。今までは復習をメインにしてたけど、これからは授業の中で理解しきろうと思ってね。そう考えると、自然と手を挙げてるんだよ」
「うっわ、めちゃすごいやつ! あたし全然授業だけで理解出来ないわ~。まあ復習もしてないから完全に頭から重力に伴って落ちてくわ!」
「落ちきれないようにいつも教えてると思いますよ? もしかして、今まで教えたもの、完全に抜け落ちてないですよね?」
「あ、やべっ。逃げるわ! じゃ、お先、アルマリア!」
「わたしもお先に失礼しますね。幼馴染のバカを直してきます」
二人はそう言って、命懸けの鬼ごっこを開始して部室から消えていった。私は誰もいない空間に遅れて手を振り、そして窓を開け、部室から見える空を眺める。そろそろ時期的に雨が増える時期になるだろう。少し湿ったような風が私の鼻を掠める。そんな穏やかな時間は、外から聞こえてくる耳障りな屑の言葉によって、すぐに終わった。
「おい、貴様。その体、俺の魔法の実験体として使わせてもらうぞ」
私は部室の窓から、声のする方へと飛び出した。