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第62話 青い夏までの準備

 教室に戻るとちょうど授業が終わる時間だったのか、エルヴィラ達が玄関で私たちを待ち構えていた。私の姿を発見するやいなや、エルヴィラは私の方に駆け寄り、色々と質問攻めにする。ジークはオズマンド達と話し始め、アーネストは一人教室の方へと向かって行く。ひとまずの依頼は完了したため、今日は残りの授業と部活に時間を費やすことにして、しばらくのエルヴィラの質問の後、再び教室の方へと戻った。


「今日の部活動は、ちょっと早いけど夏休みの活動をどうするか、決めようと思います!」


 そういって、部室の黒板にでかでかと文字を書くエルヴィラ。彼女の声に答えるように盛り上がるメーヴィスに、彼女たちを静観するジークとオズマンド。色々と突っ込みどころがあるが、突っ込む気持ちが霞むほどに元気であるため、何も言わない彼らは、私の方に視線を送ってくる。


「えっと、エルヴィラさ。まだ夏休みまで何ヶ月か先あるけど、どうしたの?」

「そりゃ、夏休みの活動を大いに盛り上げて楽しむための準備に決まってるんだよ! ほら、よく言うじゃん! 準備期間が一番楽しいって! 今から夏休みの活動を見据えて活動したら、だらだらと活動するよりも楽しいかなって、そう思ったんだ!」

「マジで名案だと思うわ! あたしはさんせー! ほら、オズも賛同しよ!」

「え、ええ。まあ、楽しみ方は人それぞれとは言いますが……。まず部員をあと1人くらいは集めないといけないのでは?」


 そう、私たち天文学部はまだ正式な部活動として復活は出来ていない。人数を集めないと復活出来ないので、だれか勧誘しないといけないのだ。しかし、エルヴィラはわざとらしく高笑いをする。合わせてメーヴィスも下手な高笑いを続ける。私たちはつられて苦笑いする。


「実はね、私たちのクラスメイトの一人を勧誘することに成功したのだ! いや、厳密にいえば、まだ成功はしてないんだけど、興味を持ってくれてる子がいたんだ! だから、実質的にもう勧誘は成功したと言っても過言じゃない!」

「過言じゃない!」


 今日のエルヴィラとメーヴィスはいつも以上にシンクロする。


「と、言うことで、勧誘についてはもうほとんど考えなくて良いと判断して、今から学期末テストまでの間、夏休みでどんな活動したいかを考えていこうと思います! よろしい?」

「よろし!」


 元気に反応するのはメーヴィスだけだが、ジーク達も別に否定しているわけではない。活動を考えるというのは特におかしいことではないと納得しているのだろう。それについては私も同感だ。


「分かった。分かったよ。それじゃあ、いつものように空模様の観測をしながら、夏休みに何をやるか、みんなで考えよう。ゆっくりとね」

「流石マリア! 理解が早くて助かるよ! それじゃあ、今日も帰り道に空を見る活動して帰ろ!」


 そう言って、エルヴィラはいつの間にか荷物をまとめ、スクールバックを肩にかけて部室から出ていく。続けてメーヴィスが出ていき、その様子を見た私たちはお互い顔を見て苦笑いをしながら、彼女たちに続けて部室を後にしたのだった。

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