第61話 その力
「……二人とも、大丈夫? 怪我してない?」
私はジークとアーネストに歩み寄り、様子を伺う。どうやら二人とも魔法による防御をしたのか、致命傷はなく、吹き飛ばされた時に着いたと思われる、擦り傷が多く刻まれていた。
「ああ、大丈夫だ。全く、アーネストが邪魔しなきゃ一人でも勝てたんだが」
「おいおい、この期に及んで人のせいにする気か? そんなだから長年嫌われ一族として慕われるんだ。素直に言えよ。純潔である僕の邪魔をしてしたとな」
二人仲良く吹き飛ばされたにも関わらず、こんな罵り合いが出来るのなら、特に問題はないのだろう。
「はいはい、もう済んだことだし、言い合いしない。ほら、依頼はもう終わったんだし、戻ろうよ」
「ああ、そうだな。依頼の報告は依頼を受けたアーネストが行くだろうし、俺たちは教室に戻ろう。エルヴィラ達に色々と言われるだろうがな」
「……その前に一つだけ、良いか?」
やはりアーネストは私の扱う魔法属性について追及を止めないらしく、立ち上がって私の方を見る。私はもう彼に隠す気もなく、彼と向き合う。
「うん、どうしたの」
「アルマリア。君の天性属性について、どうしても、どうしても気になることがあるんだ。だから、聞かせてほしいんだ。僕の疑問について、答えてほしいんだ」
「分かったよ。それで、何を聞きたいの?」
「君の天性属性は、少なくとも風魔法じゃないと思っている。さっきの攻撃を見て、核心した。僕は君のが使う属性について、あの屋敷であった古代文明人の日記に似たような記載があった。ある程度は読み解ける僕が見たところ、――それは、空を操る偉大な力だとあったんだ。もしかして、君のその属性は、それに近いものなんじゃないか?」
私は少し口を閉じる。しかし、意を決し、彼の真っすぐな好奇心の目に対し、こう言い放った。
「そうだよ」
私はついに認める。本当は認めてはいけないのだが、ここまで勘付かれているのなら、もうバラした方が良いと判断したのだ。