第57話 青と雲の下で
雲が青空を彩る午後。私たち3人は午後の授業から抜け出し、近郊に群れている下位種の魔物退治に出かけていた。授業を抜け出したと言っても、アーネストは担任の先生に事情を説明しており、一応無断サボりにはなっていない。欠席に変わりないが、先生の理解は得られているようだ。なので罪悪感を感じることなく、魔物退治をすることが出来る。即席のチームはアーネスト、私、そしてジークだ。急に出て来て付いてくることになったジークの存在を、アーネストは未だに納得していない様子だ。
「あのさ。やっぱりなんでお前が来てるのか、まだ全然腑に落ちてないんだけど。なんでいんの?」
「さっき屋上で言った通りだが?」
「お前が屋上で言ったこと、自分で覚えてるか? 俺も授業サボりたいだけだったよな。だったら別に僕たちについてくる必要性なんてないだろ。それともなんだ、歴史が長いだけの役立たずは一人じゃ寂しくて何も出来ないんだな。そうだったら心底哀れみの目を向けてやる」
「いやいや、それこそ俺が午後の授業をサボる理由なんて俺の自由だろ。そっちこそ、ただの魔物退治なら一人で行かないのか? 純潔一族が聞いてあきれるな。そんなだから一族の立場が弱くなるんだ。いっそのこと純潔落ちでも狙ってるようにしか見えない。狙ってるならこれ以上ない位に褒めてやるよ」
二人の会話はまさに暴力そのもの。聞いてて呆れてくる。柄じゃないが、二人の仲を取り持とうと、私は口を出した。
「まあ二人とも落ち着いてさ。魔物退治なんだし、人数多くて困ることじゃないよ。アーネスト、ジークはね、魔物に対して結構好戦的なんだ。だから、多分それが理由だよ。だからそんないがみ合わないでさ、旅人ギルドのチームごっこでもしながら楽しく行こうよ」
「……っち、分かった。足、引っ張んなよ」
「足なんて引っ張らないが? あんたが邪魔しなければの話しだけどな」
「……なあアルマリア、なんでこいつと仲良くやれるんだ? 嫌味しか言わねえけど」
「それはそう。でもまあ、小学部で何気なく一緒に入れる数少ない友達だったから。エルヴィラと一緒でね」
「……そうかよ」
私たちは街を出て、国道を進む。天に木霊する学生たちの会話が、静かに風に流され、世界を少しだけ彩っているのを感じながら。