第51話 社会の形 1
「さて、アルマリアはまずこの国の純潔主義について理解をしてもらった方が良いだろうな」
そう言ってジークは街の広場にあるベンチに座り、腕を組んで私の方を見ている。私は戸惑いながらも頷き、彼の隣に座る。
今日の部活は、それぞれが気になる広場から見える空を観察すること。そう言って、エルヴィラはメーヴィス、オズマンドを連れてそそくさと活動に出て行ってしまった。取り残された私とジークは、そのまま活動に入り、私が気になっていた小さな広場に来たのだった。
私が来たのは大通りから外れた小道に面している広場で、主に高齢の人たちの休憩場所に使われるところだ。小学部の時によくここで近所のおばあさんにおかしをもらった覚えがある。
「それ、部活動に必要な知識? 空を見るのに必要とは思わないけど」
「部活を存続させるための人集めには必要な知識だな。部長であるアルマリアは知っておいた方が良い。それに、この国で生きていくんなら、どっちにしても知らないと社会的に孤立するだろうからな」
「ふーん。別に私は国に縛られるつもりはないけど、まあジークが教えてくれるものはどれも大事なものだと思うし、聴くよ」
私はジークに向き直り、姿勢を正して彼の顔を見据える。彼はほんの少し目が泳いだが、すぐに言葉をつなぎ始めた。
「まず言えることは、このまま何となくで人を勧誘しても意味はないってことだ。特にあのメンバーだと、あの学校のやつらは近づかないだろうな」
「そうなの? もしかしてそれって、エルヴィラの事とかも関係する感じ?」
「そうだ。これはあくまで事実として言うが、やはりエルヴィラの一族の革新的な動きって言うのは、純潔一族にとっては最悪の一言に尽きる。それに……」
それからジークが話すことは、彼自身に関係することだった。
「俺やメーヴィス、オズマンドのような、準貴族が関わっていると、それだけで純潔一族から目の敵にされるのさ」