第48話 そして全ては戻って行く
「ありがと、マリア……助けに来てくれて」
「当然でしょ。友達なんだからさ。体とか大丈夫? 怪我してない?」
「浅い傷とかはあるけど、でも大きなものはないよ。マリアこそ、かなりボロボロ……大丈夫?」
「うん、私もそこまで大きなものはないから大丈夫。さあ、みんなの所に戻ろう。お兄さんと、……あとレティシアさんも心配して探してくれてたし、早く安心させてあげないとね」
「お兄様と、レティシアさんも……そっか、そういう感じだったんだ……。うん、そうだね。安心させないとね」
エルヴィラは私からゆっくりと離れ、私と一緒に立ち上がる。その時の彼女の表情は、涙に溺れているように悲しそうにしていた。
「さて、それじゃあ、みんなで戻ろう」
私はそう言い、地面に転がるアーネストの方へと歩く。エルヴィラは私のすぐ後ろについてくる。
彼の傍まで行き、言葉をかけた
「さ、君も一緒に戻ろう。ここでずっと寝ててもつまらないし、風邪ひくよ」
「僕のことは気にせずに勝手に帰れよ。僕はお前の敵、なんだろ」
「さっきまではね。でも、今はもう違う。エルヴィラは無事に帰ってきたから、今の君は、私にとってのクラスメイト、だからさ」
「それでもしょせんはクラスメイトだろ。それまでの関係性だ。無理に良い顔しなくていいだろ」
「私はね。クラスメイトとか、少しでも知り合って、特に嫌悪感を持たない人だったらフレンドリーに接したいタイプなんだ。それに、どういう関係性であっても、傍にいる人間で困っていそうな人がいたら無視できないんだよね。だから――」
私は彼に手を伸ばす。
「アーネスト。私たちと一緒に、学校に戻ろう」
彼は、呆れたような苦笑いを浮かべながら、私の手を取った。