第43話 怒りの猛攻
私は即座に水の中魔法を準備する。頭の中で水属性の中規模魔法の魔方陣を正確に思い描き、そして発動する形状をイメージして、発動した。私が発動した水属性の中魔法は自身の体と同じ程度の大きさとして目の前で出現し、それはカメの甲羅へと形を変える。その固い水のカメの盾により、地属性の狼の牙は私のもとに届かず、甲羅を噛みついて砕け散った。
「ふん。なんの血族でもないくせに中々やるな。本能的に動いただけだろうが」
アーネストは私を見下しながらそう言う。彼は静かにこちらに歩み寄り、後方に地属性で作った槍を4本、準備をしていた。
「まあ、確かに親はそんな有名な魔術師じゃないけど、魔法の扱いはすごい上手いんだよ。だから、これは親の指導の賜物ってやつだよ。血じゃなくて、純粋な教えでね」
私は立ち上がり、水属性の槍を同じく4本作り、左右2本ずつ準備する。彼は両手を振り、宙に浮いた地属性の槍を巧みに操り、襲い掛かる。私は水属性の槍使ってその地属性の槍の猛攻を受け流していく。
「選ばれし一族同士で血を繋げて、魔法の才能を、希少な天性属性を継承し続けることが、今も昔も、純潔一族に課せられた使命の一つなんだ。それを、あの野郎は、姉さまを使って壊そうとする。偉大なる規則を破ることに、巻き込んでる。それがどんなにひどい結末を迎えるか理解しながらも、己の我儘を押し通そうとしてるんだ。僕からしたら、それがたまらなくむかつくんだよ。たまたま才能に恵まれただけの癖に、生意気なんだよ」
彼の怒りがダイレクトに地属性の槍に込められ、力強い連撃を私はなんとか水属性の槍を使っていなしていく。水属性の槍に伝わる衝撃が耐えきれずに体の方に伝わり、徐々に疲労が溜まっていく。しかし、怒りに任せた攻撃を続ける彼も少しずつ隙を見せるようになる。私は彼の足元に魔法を発動出来るように集中し、そして水属性の中魔法でタコの脚を作り出し、彼の脚に絡みつかせる。驚いて足を見る彼のその一瞬の隙を私は見逃さず、私はすぐに発動出来る風属性の中魔法で大きめの拳を作り、彼の横腹に撃ち出した。彼は私の攻撃に気づいたが防御が間に合わず、クリティカルヒットして衝撃で後方へと飛んで転がる。地属性の槍は彼が地面に転がったと同時に砕け散った。
彼の目は、私を鋭く睨んでいた。