第37話 導きの手紙
教室へと入ると、そこはいつもの日常が待っていた。エルヴィラと、アーネストの席だけを空席にして、朝のホームルーム時間前の時間が流れている。ただ、純潔達からの視線が、いつも以上に感じ、私は足早に自分の席へ着いた。
「おはよ、アルマリア!」
「かなりギリギリでしたね。寝坊でもしましたか?」
「エルヴィラが来ていないが、また何かあったのか?」
ジーク達も、あくまでいつもの日常会話的な関りを私にしてくる。
「朝にちょっと読書しててね。両親から遅れた入学祝だって。それで出る時間がギリギリになっちゃった」
「それは結構遅れた贈り物だ! どんな本だった?」
「大魔法の教書」
「それは珍しい書物ですね。それなら確かに熱中するのも分かりますよ」
「あたしのも見せてよ! 座って勉強するよりもそっちの方が絶対に良い気がする!」
「良いけど、まあまずは私が全部読んでからね」
私は日常的な返答をして、そして、声を潜めてみんなに話す。
「あのさ、ちょっとこの後屋上に来てほしいんだ。大切なことを話したくて。ここだとあまり話しにくくてさ」
「今からですか。でも、もうホームルームが……」
「いや、アルマリアが言うなら、大切なことなんだろうな。今から行こう」
「ジーク……ありがとう」
そうして、私たちは、クラスメイトの怪しい視線に見送られながら、屋上へと向かう。そして、エルヴィラの状況について共有した。
「なるほどな。だからエルヴィラは来ていなかったのか。それじゃあ、俺たちも探しに行こう」
「そうですね。以前のような誘拐未遂もあって、今回の件を考えると、あまり良くないことが起きていることは容易に考えられますし」
「純粋に心配だしさ! 協力して探そう!」
「みんな……ありがとう――」
みんなが捜索に乗り気になってくれるかもしれないとは思っていたが、こうも快諾してくれると、なんだか嬉しくなる。
「それで、どう動いていく? 学校に何かしらの手掛かりを探すか? 全く手がかりもないが」
ジークが当然な疑問を私たちに言う。皆が確かにと頷き、動き方について考えようとした時、私の肩に一羽の小鳥が止まったことに気づいた、見ると、それは地魔法によって作られた小鳥で、魔法が解けて中から一通の小さな手紙が入っていた。皆に見守れらながらその手紙を開くと、そこに書いてあったのは一文だけ。
「今は1人しか来ない歴史の場所である屋敷で待っている」
私はその文を見た瞬間、大体の事情について理解した。そしてみんなに言う。
「みんな、これから行くべき場所が分かったんだ。一緒に行こう」