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第26話 圧倒的な力

「さて、準備は良いか?」

「もちろん。そちらも準備よさそうだね」

「当然。氷牙の貴公子の力、見せつけてやるさ」

「それじゃ、お供するよ」


 風にのり、二人の会話が聞こえてくる。会話が途切れた次の瞬間には、二人は天性属性の発動準備に進み、そして魔物の群れと会敵した。


 飛び交う氷の牙に、盛り上がる大地の針。ウルフの群れに囲まれ、四方八方から攻撃を受けるオリヴィンとレティシアは、その一切を寄せ付けず、防御と攻撃を巧みに操る。二人は背中合わせになり、オリヴィンは杖を、レティシアは地魔法の盾を用いてウルフたちの攻撃を防御していく。瞬く間にウルフたちは消滅していき、戦闘が始まって数十秒で、上位種らしきウルフとその取り巻き数匹だけとなった。


「流石は純潔の姫だ。この程度の魔物では準備運動にもならないか」

「氷牙の貴公子様もね」

「ああ。だが、この上位種は油断したら、俺たちでも死ぬぞ」

「分かってる。本番はこれからってことだよね」


 二人はそう言い、構え直す。先ほどとは打って変わり、相手の出方をしっかりと見極めようとしているように見える。ウルフたちも相手の出方を伺い、取り巻き数匹が二人の周りをゆっくりと回る。その一瞬、上位ウルフが瞬時に魔法を発動し、大地が爆発した。同時に取り巻きウルフたちも彼らにとびかかる。砂煙で姿がかすみ、反応が遅れる二人。瞬時に氷の壁を作り、襲撃を回避したが、それでも絶えず爆発し、その砂煙から襲撃する取り巻きウルフが優勢となり、二人は防戦となった。そして、二人の姿は砂煙の中に消えていく。


「兄さま!」

「姉さん!」


 不安気な声を出すエルヴィラとアーネスト。私の心も、心配が強くなり、眉間に皺を寄せながら戦闘の様子を見る。


「そろそろ良い頃合いか」

「多分、ね」


 そんな時、風に乗って声がまた聞こえた。戦況と似つかない余裕のある声色は、何かを見計らっているような、そんな様子だった。その声に答えるかのように、取り巻きのウルフが一気に砂煙の中に突撃した。その刹那、砂煙を突き破るほどに巨大な針のついた氷塊が出現した。私のところまでその冷気が届くほどに協力な氷魔法には、突撃したウルフたちが貫かれ、力なく垂れさがっていた。


「ちょっと油断しすぎた? 貴公子さん」

「いや、まったく問題なかったな」


 氷塊が爆散し、中からオリヴィンとレティシアが出て来た。二人はお互い笑顔で見つめ合いながら、そんな余裕のある言葉を交わしていた。その一瞬、オリヴィンが私の方に顔を向けたような気がした。

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