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第25話 接敵 

「あ……マリア……」


 オリヴィンとレティシアの姿にくぎ付けで、門壁の屋上通路にいつの間にかエルヴィラがいることに気が付かなかった。彼女は私の名前を呼び、私は驚いてそちらの方を見る。


「あれ、エルヴィラ? なんでここに……」

「お兄様と一緒に来たんだよ。こういう緊急事態は、純潔一族が率先して動くべきだって、そう言ってね。――多分、目的は他にあるんだと思うけど」

「おい、なんでお前がここにいるんだ」


 私とエルヴィラの会話に、急に割り込んでくる声が聞こえた。聞こえた方を見ると、そこにはアーネストの姿が見えた。彼は向かいの上り階段のある塔からこちらに来たようだ。


「アーネストも来たんだ。なるほどね。ストヤノフとシュプリンガー一族が集結って感じか」

「俺は、姉さんと一緒にここに来たんだ。こういう時、かつてのように純潔一族が前に出るべきだって言ってな。さっきまでは下で騎士団員の人たちと話してたのさ。そこのストヤノフと一緒にな」

「へえ、アーネストも以外に積極的なんだね」

「ち、違うってマリア! たまたま同じ目的で来てたから協力してただけ! もうこんな上から目線をあからさまにしてくる奴と一緒にしないでよね!」

「ふん。うるさい奴だ。社会の評価が良くなってるだけで調子に乗ってる一族の癖に」

「なっ! ――良いよもう、勝手に言ってればいいんだからさ。それより、ほら、魔物の群れがもう見えてる」


 エルヴィラが話題を打ち切り、先の方を指さす。そこには、全速力でこちらに向かってくる魔物の群れが見えていた。種類はウルフで、数はざっと数十匹。そのうちの一体は、明らかな上位種だと分かるくらいに色が黒味を帯びており、体つきも明らかに違った。


「さて、ストヤノフの氷牙の貴公子の実力を評価してやるとするか」

「ふんだ! こっちだって、純潔の姫とか言われてる程度のあんたのお姉さんの実力、この目で見させてもらうもんね!」


 二人はそう言って腕を組み、静かに兄と姉の姿を見据える。私も二人に習い、今始まる戦闘に意識を向ける。オリヴィンは先端に幾何学的なシンボルをあしらった伸縮性の杖を構え、レティシアは同じく先端に幾何学的なシンボルをあしらったステッキを構える。そして、二人は魔物の群れを迎え撃った。


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