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第162話 裏の物語の結末

 表彰式を横目に、私は医務室に生き、簡単な検査を受けた。特に大きな障害等はなく、ちょっとした魔力諸費による摩耗症状の手前の状態であるため、魔法は今日はもう使わないようにすること、体を休めることなどの一般的な療養について話しをされた。エルヴィラ達をクラスの方へと帰し、少し休んだ後、少し校内を歩くことにした。


 私が廊下を歩いていると、彼女とある男の声がドアの開いている部屋から聞こえて来た。


「ソルベルク様、ご足労頂き申し訳ありません」

「大丈夫だよ。それで、体の方は大丈夫かい? 相当なスピードで水壁に衝突したけれど」

「はい、大丈夫です。それで、その……」

「約束通り、しばらく学校を休校して僕の指揮下に入ってもらう。君にしてもらいたい仕事はたくさんあるんだ」


 私はその言葉を聞いて、その部屋に飛び込んだ。


「ソルベルク! 私が一位になったんだから約束は守ってもらう! フィオレにもう迷惑をかけないで!」


 ソルベルクはフィオレの方を向いたまま、私の声に反応する。


「もちろん、アルマリア、君との勝負は君の勝ちだ。フィオレのご両親を社会的に殺すことはしない。でもね、それは君との約束なだけだ。僕がフィオレと話しているのは、フィオレとの約束事の事なんだよ」

「それって……フィオレ、もしかして……」

「……うん、私が一位になるかならないか、ソルベルク様からお話を受けていたんだよ。その結果、私は負けた。1位に慣れなかった。だから私は、負けた時の条件を遂行することになるんだ」

「そんな……ソルベルク、本当に最低なことしてるって自覚ある?」

「もちろんあるよ。そして、それが許されるのがこの国、この都街の純潔一族の権力なんだ。外から移住してきた部外者には分からない、ここで生まれ育った人たちの血液レベルで刻まれた文化さ。だから君が今ここで文句を言っても、何も変わらないんだよ」


 私は拳を握りしめ、ソルベルクを睨みつける。今にも魔法を使ってぶちのめしたいと考えているが、私の行動がフィオレに向かう可能性もあり得ると思うと、何も動くことが出来ない。


 ソルベルクはため息をつき、初めて私の方を見て話しをする。


「まあ、アルマリアもかなり頑張っていたようだし、とても良い魔法も見れたから、その功績を讃えて、フィオレに課す条件を緩めてあげよう。そうだな、ひとまずは夏休み期間だけ、僕の元で仕事をしてもらう。それが譲歩の内容だ。良いね、フィオレ」

「……はい、承りました、ソルベルク様」

「フィオレ!」

「お願い、アルマリア、私はこれで大丈夫だから、だから、もう、ジークの元に行ってあげて……」


 フィオレは無理に作った笑顔で今にも泣きだしそうな声を私に響かせる。私は唇も噛み締め、小さく「分かった」とこぼし、その部屋を後にした。

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