第161話 余熱に咲く笑顔
夢を見ていた。それは、果てしない大空の下、果てなき大地と大海原が同時に存在する場所。海は鏡のように空を映し出し、無限に続く大地は荒々しい岩肌を持って生物を大地に留め、上から大空が全てを見守る。私は、そこに私だけがいるのではないと気付き、それぞれの方を見る。それは歴代の人たちの影であり、魂なのかもしれない。ある人たちは海に愛され、ある人たちは大地に祝福され、ある人たちは空と相思相愛となる彼らはその力であるがゆえに時代に翻弄され、世界と戦ってきた。私はそんな立派な人になるつもりはない。私は歴代で最も自由で、ある意味強くなりたいと願っていた。一族から聞かされた、天性属性の持つ運命について、小学校から聞かされた時から、子供ながらにそう願い、実現するために生きていく。でもどうやら、いつの時代も、私たちのような人たちをほっとくわけにいかないようだ。恐らく純潔一族でもすでに気づいている人たちがいる。どれでも私は、自由のために、時代と戦う。そのために騎士養成学校に入り、力を付けようとしている。私は目を閉じ、空に身を預けたのだった。
誰かが私の名を呼んでいる。聞き覚えのある声。私は徐々に目を開ける。空の下、目の前にいたのはエルヴィラだった。彼女は嬉しそうな笑顔で泣きながら私の名前を呼んでいた。
「マリア! やっと起きた! 心配させないでよもう!」
「エルヴィラ、ごめん、ちょっと寝てた。どうしてそんなくしゃくしゃな顔してるの? もしかして、負けた?」
エルヴィラは首を振る。そしてそれを宣告した。
「1位だよ! マリア! 私たちの組が優勝したんだよ! おめでとう!」
すでに授賞式は始まっていたようだ。見ると、3年次の同じ組のリーダーが、一番高い表彰台に上がり、トロフィーを掲げていたのだった。