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第157話 走りの魔法

 第1走はほぼ同時に駆け、同時に各々の天性属性を発動してスピードを上げる。ある人は風を纏って体を軽くしてスピードを上げ、ある人は足の裏を小さく爆発させて爆風で飛ぶようにして走る。私のチームのエルヴァルは、水のレールを先に飛ばし、レール上を滑る方法で加速した。

 全員が競り合い、抜かし抜かされる度に熱気と歓声が世界を包む。先ほどまで余裕な表情でいたエルヴァルも、今はただ前を向いて必死に先頭を貪欲に求める。その手にもつバトンをチームメイトに渡すために。

 歓声は応援とも相手を罵倒する声も何もかもがこだまする。走れば走るほどに、世界は湧き上がる。


 ほぼ平行のまま、第2走者へとバトンは渡った。

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