第152話 魔力の感覚
オズマンドは次の障害へと走る。ここの障害は次で最後のようだ。しかもここから見える障害は、いくつかの扉を開けるもので、先行している人たちを見ると、こちら側の魔法だけで扉を動かして走者を通すルールのようだ。
「アルマリア、ここがどういう障害かはもう分かってますよね。頼みます」
「分かってる。行くよ」
私は風属性魔法を発動してその扉を開くように制御する。ゆっくりと開く扉のほんの隙間をかいくぐり、オズマンドは前に進んでいく。
(かなり重い……)
扉は前に進むたびに重くなり、オズマンドが通れるほどの隙間を作るにも少し時間がかかる。オズマンドを見ると、自身に水属性を纏い、可能な限り隙間で通れるようにしていた。何とか2個目の扉も通過し、最後の扉となる。魔法をぶつけて魔力制御により扉を開こうとする。最後の扉はかなり重く、歯を食いしばる。中々扉を上手く開けない。ただ力任せでは開けにくいようだ。焦りで汗が出てくる。その時、後方から声が私に向かった声が聞こえた。
「アルマリア、扉の掴みやすい感覚のところを探して」
視線を声のした方へやると、そこにはフィオレがいた。彼女は私に手を振り、観客の中に消えていく。私は心の中で彼女に感謝をして、言われた通り、扉の感覚に集中する。すると、明らかに感覚が軽くなる場所を見つけ、そこから意識を離さず、扉を動かす。扉は思い切り開き、オズマンドはすぐに通過した。通過した後に私は力を緩め、思い切り息を吐いた。流石に疲労が溜まっている。しかし、競技はまだ最後の走者を残している。私はすぐにアンカーへ集中した。