第149話 イメージとコツ
「メーヴィスは目の前の障害に集中して。私は飛んでくる属性魔法を対処する」
私は彼女にそう言い、水属性魔法を放ち続ける。他の走者とサポーターたちも同じようにして対応してる。最初の障害だからか、流石に相手達の攻撃の規模もそこまで激しくはない。何人かの走者は炎の球がかすってすでに火傷を負っているが、本気で倒そうとしている様子はなかった。
メーヴィスは重力属性魔法を使って地属性の岩を横にずらそうと頑張っている。少しずつ動いており、有効な様子だ。しかし、その姿は完全に隙だらけだ。もしここが戦場だったら、彼女は真っ先に標的にされるだろう。
「メーヴィス。それは動かすよりも壊した方が早いと思うよ」
「や、やっぱそうかな! でも、まだ重力属性でそういう風に物を壊すってイメージ、付きにくくてさ! なにかヒントない?」
彼女は必死になって私に助言を求める。私は思いつく限りのことをを彼女に話した。
「例えば、拳に重い重力の魔力を込めて、思いっきり殴るとか。重さを岩にだけ伝えるようにすれば壊れると思う」
「やってみる!」
彼女は一呼吸置き、右こぶしに重力属性を発動させる。彼女の考える重力の色は青黒いようで、青黒いオーラが右こぶしを覆う。そして、その右こぶしを岩に目掛けて打ち出した。私のイメージ通り、岩は大きく揺れ、拳の箇所は大きなひびが入る。続けて2発目を打った彼女の拳は、ついに岩を破った。
「よっしゃ! ありがと、アルマリア! この調子で渡り切るから、援護お願いっしょ!」
私は頷き、彼女に飛んでくる炎属性の球を水属性の球で相殺する。そして彼女はコツを掴んたの科、2枚目の岩からは一撃で岩を壊し、サクサクと渡り、ついに最後まで渡り切った。この時点では真ん中あたりの順位だ。まだ挽回は出来る位置にいる。彼女は私にVサインを送りながら、次の障害へと走って行った。